新々リストラなう日記 たぬきち最後の日々

初めてお読みの方は、<a href="http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20100329/1269871659">リストラなう・その1</a>からご覧になるとよいかも。

「琉神マブヤー」がデージなってる!(ワンの頭の中で!)

 先日紹介した「琉神マブヤー」のサントラ・ミニアルバムだが、歌がすばらしいので何度も聴いているうちに、すっかり心を奪われてしまった。ウチナー表現だと「マブイを取られた」っていうのか?
主題歌の歌詞は以下です。(作詞、山田優樹/作曲・編曲、上地正昭)

琉神 琉神! マブヤー
正義のヒーロー!マブヤー AH〜

ウチナーがあぶない でーじ超ヤバイ
悪のマジムンやってくる (で〜じなと〜ん!)

ティーダの力で平和を守るんだ
アチコーコーのハートで勝利をつかめ

琉神 琉神! マブヤー
正義のヒーロー!マブヤー
海を飛び越え マジムンやっつけろ

来たぞ(マブヤー)正義の(マブヤー)
マイV! マイV! マ・ブ・イ 琉神マブヤー


ガジュマルが枯れてる でーじ超ヤバイ
悪のマジムンやってきた (ひんぎれ〜)

コブシを突き上げ 地球を救うんだ
マブイストーンを必ず 取り戻すのさ!

琉神 琉神! マブヤー
命のヒーロー! マブヤー
風を切り裂き スーパーメーゴーサーだ

立てよ(マブヤー)みんなの(マブヤー)
マイV! マイV! マ・ブ・イ 琉神マブヤー


(マブヤー!)
ティーダの力で平和を守るんだ
アチコーコーのハートで勝利をつかめ

琉神 琉神! マブヤー
正義のヒーロー!マブヤー
海を飛び越え マジムンやっつけろ

来たぞ(マブヤー)正義の(マブヤー)
マイV! マイV! マ・ブ・イ 琉神マブヤー

 アルベルト城間すごい熱唱です。しかし繰り返し主題歌を聴いてるだけでは満足できなくなった。なにしろ、「琉神マブヤー」について僕はこのCD1枚しか情報を持ってないのだ。もっと知りたい。とりあえずググってみる。


設定から勝手に推測する、琉神マブヤーの魅力
 琉神マブヤー公式サイト
 公式サイトが出てきた(できれば上のリンクを新しいタブかウインドウで開いてご覧ください)。トップページはたいして面白くない。ていうか、ローカルヒーローらしいパチモン臭さが薄い……もしかしてけっこう完成度高い? スーツもロゴもwebデザインもチープだけど、けっしてダメじゃない。むしろ、破綻のない仕事ぶりを予感させる。
 「キャラクター紹介」をクリックして開くと、僕はすぐに「ただものじゃない」感に打たれた。こいつらは、わかってる…。
 たとえば主人公の説明。

叶 (カナイ)22歳、ヤチムン見習い中。赤ん坊の頃、今の陶芸の師匠・岩次郎に拾われる。沖縄は好きだが文化や風習、ウチナーグチに詳しいわけで はないし、三線も弾けない。青年会活動にも今のところ興味はない。性格は思い込みが激しく、お調子者。諦めも早い。特技は空手とカチャーシー。…(中略)…「マブヤー」であることに少し戸惑っている。

 なかなか良いと思いませんか? ローカルヒーローが地域にどっぷり溶け込んでいるとなんだか少しもフックがないけれど、どうもこの主人公は、自分と周囲との間に違和感を感じているようだ。変身前も変身後も戸惑ってるらしい。それはまぎれもなく、視聴者である僕たちが、ふだん自分と世界との間に感じている違和感と同じものではないか。
 僕はここで「琉神マブヤー」を作った人たちにグッと来たのです。


 次に悪の軍団の面々が紹介されてるんですが、さらにグッと来る。

ハブデービル 悪の軍団マジムンの親方(ウェーカタ)
ハゴー山出身で年齢は不明。性格は超わがままでドゥーカッティー(自分勝手)。なぜかオニヒトデービルの言うことだけは聞く。…(中略)…好物は生卵(ゆで卵は嫌い)。全部丸飲みなので味覚オンチ。…(中略)…ハブのいない島には行かない。(「伊平屋には行った事あるけど、伊是名はないよ」)

 この、顔が見えるスーツの悪の親玉、とんがった後頭部がウン●に見えないこともなくて情けないので、CDのジャケットやライナー見てたときはどうにも好きになれなかったのですが、この紹介読んで好きになりました。そうか、宮古島にも行ったことないみたいだな。
 2人とばして、悪の軍団マジムンのヒラ戦闘員の紹介。

クーバー1号・2号 悪の軍団マジムンの忠実な臣下(しんか)
悪の軍団マジムンが地上に張り巡らせた戦闘員。クモ(沖縄口:クーバー)のように静かに忍び寄り、網を張って情報を集めている。…(中略)…口グセは「ハゴー」。ただ意味もなく叫ぶのでややこしいことも…。

 白黒のモノトーンのスーツはシンプルこのうえなく、言われると蜘蛛の巣を連想する、いい感じで美しいデザインだ。マスクもシンプルななかにオリエンタルな雰囲気を漂わせており(目の辺りが沖縄の伝統モチーフなのかな?)、素敵だ。そして紹介文からは、彼らの鳴き声?「ハゴー」がただの擬音ではないことがうかがわれる。
 彼らのバックグラウンドには、ここに書かれている以上の何かがあるはずだ。そう思わせる。


 次に「ストーリー」をクリックして開く。物語のキーになるアイテム、それが「マブイストーン」らしい。

琉球に伝わる<9つのマブイストーン>】
ウチナーグチのマブイストーン
ウチナーグチが使えなくなる)
石敢當(いしがんとう)のマブイストーン
(石敢當の神通力がなくなり、事故や災害が多発する)
テーゲーのマブイストーン
(テーゲーじゃなくなる)
エイサーのマブイストーン
(エイサーが出来なくなる)
チャーガンジューのマブイストーン
(不健康になる)
いちゃりばチョーデーのマブイストーン
(人類みな他人と思うようになる)
トートーメーのマブイストーン
(うやふぁーふじを大事にしなくなる)
命どぅ宝のマブイストーン
(命を軽く考える)
カチャーシーのマブイストーン
カチャーシーが出来なくなる)

 どうやら、悪の軍団はこれらマブイストーンを奪おうとしており、ヒーローは守るらしい。マブイストーンは沖縄の大事なものの結晶なのだとわかる。第一のマブイストーン「ウチナーグチ」を奪われると(ウチナーグチが使えなくなる)という案配なのだろう。これは大変だ。こいつを奪われるだけで沖縄の県民全員が日本語…もとい標準語を突然しゃべり始める…のだろうか。不気味な光景だ。ディストピアSFか。
 第三の石「テーゲー」を奪われると…「テーゲー」の意味がよくわからないのでググってみよう。テーゲー主義とは - はてなキーワードむう、なんとなくわかるぞ。よく遅刻して来たり、誤植があっても平気だったりするやつだな。すると、「テーゲーじゃなくなる」のはそんなに悪くないのでは? しかしある日突然県民全員が几帳面になったりすると、それはそれで不気味だ。と、今聴いているネーネーズのベストから「テーゲー」という分厚いコーラスが。こんな曲調がテーゲーなのか。


wikipediaの記述にワクワクする
 公式webページではストーリーの全貌がよくわからないので、wikipediaも参照してみる(リンクは省略)。と、ここにはネタバレっぽいことも出ている。(以下、ネタバレがあるかもしれないので自己責任でお読みください)

〈ストーリー〉9つのマブイストーンを狙う悪の軍団マジムンと正義のヒーロー・琉神マブヤーが沖縄の平和をかけて戦う物語である。

 どうも簡潔にまとめてくれちゃって。そうか、やはりマブイストーンを狙っているんだな。なんとなく主題歌からも推測できたがそうだったか。
 続いて「登場人物」も見てみる。公式webやCDのライナーとはかなり違う。

与那原犬(山城智二・ブルース)
叶の犬。正体はシーサーであり、ときおり人型へ姿を変えて叶に助言を与える。
大金城新雷(平安信行)
生き別れた弟を探し求めている青年実業家。名前は「うふきんじょうにらい」と読む。第十話で生き別れた弟は叶であることを告白。

 むむ、少し陰を感じさせる設定だ。犬に関してはキャストが(山城智二・ブルース)となっており、??だが、「うふきんじょうにらい」はかっこいいぞ。こいつの名がにらい、主人公はかない、合わせてニライカナイか。なるほど。

オニヒトデービル(平安信行)
悪の軍団マジムンの副首領。幼い頃にハブデービルに拾われて悪の軍団マジムンの仲間になるが、実は叶の実兄である大金城新雷が化けた姿である。

 そうか。悪の軍団の実力者は、主人公の生き別れた兄か。なかなか重たそうだぞ。
 正直、CDと公式webを見ていただけのときは、悪の軍団にあんまり重さを感じなかったのでその分魅力が薄そうに見えた。なんだやっぱりちゃちいじゃん?と思っていた。しかし、生き別れた兄弟が戦うという、定石だけど屈折した設定はソソる。首領のスーツから顔が見えているのはやっぱりどうにもかっこ悪いけど、副首領がなんとかしてくれるでしょうきっと。

 ここまで本編を見ずに書き進めているのだが(ほんとはYouTubeで見たけど、見てない段階の感想を思い出しながら書いてます)、琉神マブヤー、あらすじにパワフルな構造を感じるのです。悪の一味の中に生き別れた家族がいるとか、悪の軍団が「沖縄の心」を奪おうとしているとか、なかなか凝ってます。スピリチュアル、というと語弊がありますが、この物語における悪の軍団は物質的なものを奪うのではなく、精神を狙っているのです。怖いですね。
 悪の軍団が首尾良く沖縄の心を奪い尽くしたとすると、ウチナーグチもしゃべらず、テーゲーでもなく、人類みな他人で、命を軽く考える沖縄人が、エイサーもカチャーシーもしなくなる…というディストピアが現出するのでしょう。エイサーとカチャーシーがだめなら宮古島のクイチャーを踊ればいいじゃん、と思ったりしないこともないですが、やっぱりそれだと本島のおばぁとか満足しないんだろーねー。
 ていうか、自分たちの言葉を失い、楽観的に生きることもできず、周りはみな他人で、命を軽く考える……って、おい!私たちナイチャーのことじゃん!と思いついて戦慄したさー。
 琉神マブヤーをいちばん必要としているのは、沖縄の人たちではなく、僕のようなナイチャーじゃないのか。マブヤー、内地に来て、ここで猛威をふるっている魔物と戦ってくれないか…そう思ったのです。


 と妄想してるだけでは満足がいかなくなったので、いよいよ明日はYouTubeでマブヤー本編を見てみたり(まだアップロードされてるといいですがねー)、他の重要資料をあさってみましょう。マブヤーの世界は非常に奥深く、またあの人物がとても奥深く面白いことがわかって驚いたのです。ワン(我)の頭の中はもうこの番組のことで一杯です。デージやばいです。ではニフェーデービル!