Amazon詐欺? その後…品物が送られてきた、が
ご無沙汰してしまいました。Amazon詐欺業者に引っかかった話、続報です。
結論から云うと、なんと「品物が送られてきました」。約1週間遅れで。
しかしそれは「コピー商品」「偽物」でした。
1.「ねこじゃすり」コピー版を詳しく見る
■左は本物(正規品)、右がNewzeroInから送られてきた偽物。箱の色を似せているが安っぽい。また商標がない。イラストや文字はコピーではなく新たに組んでいる。
■こちらは偽物の箱。ツルツルした銀色です。箱がひしゃげてるのはご愛敬。
■こちらは本物。マットなシルバーグレイで、紙質も良い。ワタオカさんの商標?が右側にある。
うーん、品物が届いたってことは「取り込み詐欺」ではなかったということになるのかな? でも[正規品]と謳って偽物を送ってくるんだから、やっぱ詐欺だよなあ。
では偽物のディテールを見ていきましょうか。
■箱に収まってるのを見るとそっくりなんだが(左が偽物、右が本物)
■本物(左)には、商標とマスコットの刻印があるが、偽物(右)にはない。
■本物(左)の刻み目には極小の突起があり、掻き心地が良い。偽物(右)は単純な射出成形なのか刻み目が鈍く浅く、突起はほとんどない。これでは猫は喜ばないのでは?
コピー商品は、本物から型を取って単純な射出成形?でクローンを作ったもののようです。全体の形や重量は本物に近い(やや長さが短いが、重量はどちらも39g)。
付属の説明書も見てみましょう。
■上が本物、マットな紙にグレイで印刷。下は偽物、薄くてツルツルの光沢紙にスミ100%で印刷。二つ折りになっており、下半分が表紙になる。似せているんだけど、全然違う。
■画像をひっくり返してみました。文言が読めますか? 上の偽物では「グルーシング」になっています。「ミ」と「シ」が混同されるのは中華圏ではよくありますね。
■説明書裏面。文言を似せたり、似たイラストを書き起こしてるんですが、やはり違っています。「ねこのぐらし」とか、「、」が行頭に来てるとか、イラストではじゃすりの刻み目が直線になってる(本物は単純な直線ではない)とか。詰めが甘いというか、投げやりな偽造というか。中華民族、仕事雑すぎ。
■箱の裏面のバーコードにはしっかり「Made in China」と。猫じゃすり正規品は国産です。
というわけで、よくわからない偽物が届いたしだいです。
2.取り込み詐欺ではないかもしれないが、やはり詐欺
品物は遅れたけど届きました。だから「発送しない」「取り込み詐欺」ではなかった、ということでしょうか。
しかし[正規品]と謳って偽物を送ってよこすんだから、やはり「詐欺」でしょう。コピー商品の販売は犯罪です。それを購入するのもやはり犯罪。Amazonに返金を要求したのは結果的に間違ってなかったということか。
Amazonに「キャンセルした品物が届いた、しかも[正規品]じゃなかったんだけど、どうしよう?」と訊ねてみたのですが、「もう返金は済んでいるからAmazonは感知しない。販売業者に直接メールしてくれ」と言われました。
実はNewzeroInとは何度かメールでやり取りしています。
最初は、配達予定日の10/21に受け取れなかった時に。
「10/22に再配達が不可能ならば、10/23の午前中に再配達
(しかしこれは無意味でしたね。販売業者は発送したら後は知らん顔というか何もできない。配送業者の問題になるからです)
それに対するNewzeroInの返事。
あれあれ? 遅れることは決まってたの? それを今言ってくるの? じゃあ10/21に届いたフィッシングSMSは何だったの?
ほんとに発送したのか、それが僕のところに来るのか、それすら信じられなかったので返金手続きを取ったのは前回エントリに書いた通りです。Amazonは返金に応じました。
それら手続きが済んで、もう終わったな、と思ってたら上記の偽物が届いたしだいです。
偽物は欲しくないし、どうすればいいかNewzeroInに再びメールしてみました。
「キャンセルし、返金も済んだのですが、商品が届いてしまいました
すると、こんな殊勝な返事が。
日本語が少し変なのはご愛敬。文面は丁寧だし、誠意もある(ように見えてしまう!敬語ってすごい)。
そこで、本エントリに載せたと同じ写真を送って、「「不良品」が届いたのではなく、「コピー商品」「偽物」
それへの返事。
あいかわらず殊勝ですが……メールの文面なんてどんなことでも書けますよね。コピペでいいんだし。別に本心から謝ることもないし、詐欺をやめるって言ってるわけでもない。サプライヤーが悪いんだ、と逃げ口上を言ってるだけです。
3.詐欺業者「NewzeroIn」は消えたけれど
いまAmazonで「猫じゃすり」を検索すると、値段は3800円前後の正規品の価格で、「Amazon.co.jpが発送します」となった商品ページが出てきます。
僕が買ったときは、価格2800円くらいのNewzeroIn発送のものが最安として最初に表示されていました。それがなくなったのです。
猫じゃすりは今もAmazon.co.jp発送以外にも、多くのマーケットプレイス業者が扱っています。
しかしその中に「NewzeroIn」の名前はもうありません。
この偽物ねこじゃすりの販売をやめたのでしょうか?
NewzeroInという業者自体が店を閉めたのか? いや履歴から辿るとまだNewzeroInは存在しているようです。はたして、ここに注文して正規品がちゃんと送られてくるのか?
また謎の「税関を通れませんでした」とは何だったのか。フィッシングサイトを送ってくる不在配達通知は何だったのか。
* * *
僕の手元には、怪しいパッケージに入った、刻み目のにぶいナマクラな「ねこじゃすり」もどきが残りました。これ、どうしよう? 猫に使っても喜ばれるかわからないし、材質が猫に無害とかって保証もない。
コピー商品、偽ブランド商品は犯罪です。売るのもいけないし、買って使うのもいけない、と僕は思う。
なぜなら、最初に作った人への敬意がない、最初に作った人のアイデアや努力を盗むことだからです。それは人としてダメな、誇りのない、悲しむべき所業です。
僕は中国や中国人をことさら嫌っているわけではありません。日本を観光で訪れる彼ら、世界の観光地で行き合う彼らは、最近どんどん洗練され、素敵になってきた。その変化のスピードは尊敬に値します。
しかし、一方でやはりこうした犯罪、中国人の誇りをみずから捨てる、なさけない行為が行われている。これはダメでしょう。
また、Amazonが偽物の販売に手を貸している、少なくとも見過ごしている、責任を取れる体制にない、ということも問題として残ります。知的所有権を大事にするはずの米国の企業が、知的所有権をないがしろにして荒稼ぎしている。これじゃ自分たちの仕事にプライドが持てないんじゃないですか?
この変な偽物は、どっか届けるべき監督官庁があるのかな? 捨てちゃっていいんだろうか。どうあっても猫には使いたくないよな。偽物で猫を撫でる、それ自体が犯罪に加担してるような気がして。猫に悪いよね。