新々リストラなう日記 たぬきち最後の日々

初めてお読みの方は、<a href="http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20100329/1269871659">リストラなう・その1</a>からご覧になるとよいかも。

メキシコ人妖怪小僧は朧車の夢を見てくれるか?

 お寒うございます。今日は寒波が襲来しているので非常事態と言ってよいと思います。なるべくすみやかに温かい食事を摂り、暖めた布団に潜り込んで寝るべきでしょう。できれば明日の仕事は休んだほうが。

 男性の方に、ちょっと助言を(よけいなお世話かもしれませんが)。
 外から帰ると、手を洗いますよね。これ、励行すべきですが、もう一つ、トイレに行っておしっこする前にも手を洗うべきだと思うんです。おしっこした後ではなく、する前に。洗わない手でナニに触れると、風邪ひく確率がすごく上がると思うんです。経験上。ちょっとやってみてくださいな。



 映画を見た話を。最近の作品じゃないのを、と昨日書いたばかりですが、これは最近の作品です。
 超大作アメコミ映画「ヘルボーイ/ゴールデンアーミー」を見ました。これ、続編なんですね。全然知りませんでした。いまちょうど公開中ですが、見たのは去年の暮れ、飛行機でした。ですから画面はCDジャケットくらいでした。しょぼん。

 見たときは知らなかったけど、町山智浩さんほか「映画秘宝」の人たちが高く評価してたんですね。たしかに童貞臭い主人公だった。
 そして途中まで気づかなかったけど、「パンズ・ラビリンス」の監督の作品なんですね。ギレルモ・デル・トロ。序盤に小さいクリーチャーが出てくるんですけど、あれ見たら「パンズ」の不気味な妖精を誰でも連想しますね。そういえば「パンズ」も飛行機で見たんだった…。スマン。字幕なしでもスムースに理解できたなぁ。
 スペイン内戦に翻弄される少女の妖しい内的世界を描いた「パンズ」は、「ゲゲゲの鬼太郎」に出てきた(かもしれない)妖怪そっくりの妖魔が印象的でした。町山さんのブログでスチル見たときは全然ぴんと来なかったけど、動いてるの見たらすごいびっくりした。
 あの作品の良かったとこは、乏しい予算を上手に使って、繊細な世界を構築してたとこ…ですかね。日本映画と比べると桁違いの予算かもしれませんが、2006年当時の特撮って「キング・コング」が標準じゃないですか、ギレルモ特撮ってそれに比べるとすごくアナログな感じで(たぶんCG率低いかと)チープに見えました。でも、それが良かった。

 今回の「ヘルボーイ2/ゴールデンアーミー」は、見るからに大予算映画になってしまってて、ほんまにカネかかってまっせ! 1体何百万円もしそうな妖怪が、それこそぞろぞろ歩いて出てきます!CGちゃいます!
 そう、ギレルモ特撮の怪物は、洋風に見えない、どうしても「妖怪」と呼びたくなる、それも水木しげる先生描くところの妖怪に見える!んですな。
 町山さんも「鬼太郎『大海獣』をギレルモ監督に実写化してもらいたい」って書いてらっしゃいましたが、私は「ヘルボ2」がすでに鬼太郎のエピソード「朧車」だナ、と思ったです。ご存じですか、ちくま文庫版の6巻に入ってるちょっと長い話。
 水木先生の家がある調布市が妖雲に覆われて、妖怪の解放区になってしまう。水木家の物置に鬼太郎一味が棲み着き、水木先生のとこにも妖怪の雑誌社が原稿依頼に現れる…というディザスターなのかコメディなのかよくわからん話。もっとも、鬼太郎はほぼすべてのエピソードがコメディ調にも読めてしまうアナーキーな作品ですが。

 調布の駅前(北口)には、この作品冒頭に出てくるのとそっくりな喫茶店が今でもあります。ここから水木プロも近いので、たぶんここがモデルです。そう思いたい。
 実は私、調布市を含む京王線沿線が営業担当エリアなんで、時々調布にも行きます。そのたびに「朧車」を思い出します。ここが今すぐ妖雲に包まれたら、仕事せんでえーのになー。周りを歩いてる人も、私も、みんな妖怪になってしまって。
「ヘルボ2」に出てきた妖怪の夜市みたいなシーン、あそこで強く「朧車」を思い出したんですね。あれは私の理想の一つだな。ギレルモさん、鬼太郎実写化してくれんかなー。水木先生の妖怪を3Dで動かすのはメキシコ人のギレルモさんが世界一適任じゃろうなー。

 で、肝心の映画本体ですが、超大作のキンキラな特撮に目がくらんでしまい、ちょっと食傷しました。円谷作品で育った私は、特撮はやや貧乏くさいくらいが丁度良い、と思います。ですが、同志(勝手に同志にしますが)の妖怪ファンが若い才能を爆発させているのを見るのは快感でした。
 しかし…「ダークナイト」「アイアンマン」と来たアメコミ超大作の進撃も、そろそろお終いですかね。証券化技法で大予算を組み続けてきたハリウッドも、金融危機で出資者がいないんじゃないかな。下手すると、向こう数年の日米の大作は、あちらでビクサー、こちらで宮崎駿だけ、なんてことになるかもね。
 けど、予算がなくなればなくなったで、ハリウッドは蘇るんだろうな。それこそ創作衝動のカタマリみたいな人たちが世界中から集まる場所だから。むしろそんな意欲や衝動に溢れるやつらには、カネがないのはプラスかもしれない。
 ではまた。