新々リストラなう日記 たぬきち最後の日々

初めてお読みの方は、<a href="http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20100329/1269871659">リストラなう・その1</a>からご覧になるとよいかも。

新しいiPod nanoは音が良い

 木曜にApple Storeから新しいiPod nanoが届いた。久しぶりにiPodを買ったのでなんだか勝手が違った。航空荷物だったようで、Apple Storeは中国(台湾?)から発送しているのかもしれない。
 

なんだか箱がプラスチックなんだよ。
 僕は2001年の初代iPodから断続的に買い続けているけど、歴代iPodはみな美しい紙製の箱に入っていた。紙はゴミになってもストレスがないしな。しかしこの透明プラスチックはなんだかいただけない。取り出し方がよくわからないし。(iPodを固定したプラスチック板の背面に取り出し方インストラクションが印刷されていた。なんだ、Appleもわかりにくいことは承知なのね)
 

同梱物は最低限かな。
 2003年くらいにハードディスクのiPodを買ったときは付属品がものすごくたくさん入ってた。Dock、ACアダプタがFireWireとUSB用に2つ、とか。これは少しやりすぎだろう、と思ったのだがこんなのはこの代で終わりで、次のモデルくらいからACアダプタも同梱されなくなったようだ。
 それにしても、この白いイヤホンは音が悪いって評判だけど同梱は続けるのね。ま、これがなかったらがっかりする人もいるのかもしれんね。


「黄色」を買ったつもりなのに「金色」だったんだよ。
 Apple Storeで買うと無料で刻印ができるのと、Store限定の色を選べる。僕は黄色が好きなので迷わずyellowを選んだ。しかし、届いたのはどう見てもgoldだよなー。まあなかば予想してたけど、ここまで金色だとは思わなかった。


 新しいiPod nanoを買おうと思ったのは、ある理由で長時間にわたってNike+iPodを使う必要があるからだ。すでに持ってるiPod nano(初代)は電池がへたってて6時間も連続で運転できないので。
 で、届いた新品をMacにつないで適当に設定してやる。宇多丸の番組を中心に、歩きながら聞くPodcastingをたっぷり入れる。余ったところに音楽を入れることにして、これまで聞いたこともなかったGenius MixというiTunesが自動生成するプレイリストを入れてやった。
 いつものように愛用のラジオにつないで(基本、イヤホンは嫌いだ)、適当に音を流してみる。
 はっ! しばらくして気づく。なんだか音が良いぞ。ボーカルに色気がある。アンサンブルの音の粒がはっきりしている。明らかに音が良くなってる。そしてシャッフルする曲をつなぐクロスフェードがとても自然で美しい。これは良いよ!
 僕は歴代iPodのうち、2001、2003、2006のハードディスク搭載モデル、2005のShuffle、2005のnano、2007のTouchを使ってきた。これまでも新機種になると音が良くなったのがわかったけど、今回の進歩はとくにすごいと思う。なんというか、耳に優しい、聴いてて心地よい音で鳴るのだ。ただ単にスペックが上がったんじゃなくて、どういう音を鳴らせば気持ちよいかちゃんとわかってる感じの技術向上なのだ。
 今回の新機種はいろんな機能がついたことがウリらしいけど、僕は音質の向上がいちばん満足だった。悲しいことに、こいつに慣れると他の古いiPodで音楽を聴く気にならない。快感というのは依存性があるね。


 他に気づいたことをメモしておきます。

  • FMラジオがついた。

 イヤホンのケーブルをアンテナにする。意外に感度も良い。番組をバッファしていて、一旦停止した後に再開すると停止した位置から聞き直せる機能がついている。しかし面倒なので使わない。他のラジオと聞き比べたら、どうも時間差があるようだ。バッファしてるからか。

  • ビデオカメラがついた

 背面の下側にカメラとマイクがついた。カメラの位置が悪く、自然に持つと右手の陰になる。液晶モニタの裏側につけることはできなかったのかな。

  • スピーカがついた

 カメラの横のマイクは、音楽などを再生するとスピーカになる。イヤホンを刺すとスピーカは音が途絶える。スピーカとイヤホンは音量設定が別になってて、スピーカ最大にしててもイヤホンは前にイヤホンで設定した音量を覚えているようだ。またFMラジオはスピーカから流すことはできない。理由はわかりますね。

  • 曲名をナレーションしてくれる

 Voice Overという機能なのだが、再生中に中央ボタンを押すと外人の男が英語の曲名と歌手名をしゃべる。日本語の曲だと女が教えてくれる。男の英語の発音はなかなか良いと思う。雰囲気がある。ドイツ語の曲名だと違う男が出てくる。ちょっとぎこちないドイツ語をしゃべりやがる。
 しかしこの機能、使い方がよくわからない。とくに、イヤホンジャックを抜き差しするとプレイリストをだらだらとしゃべられたりするので困る。どうやってキャンセルするかわからないのだ。iPodの中に頑迷な小人が住んでいる気になる。

  • 加速度センサがついている(先代に続き)

 本体を90度傾けると画面が横位置になってアルバムジャケットがずらっと並ぶcover flow画面になる。これはうっとうしい。設定でオフにできる。また、ビデオカメラで撮影してるときも持ち方を自動判別して横長画面/縦長画面に自動で切り替わるようだ。よくわからない。
 他の加速度センサの使い方は、「万歩計(歩数計)」「本体を振ってシャッフル」などがある。万歩計は、iPodを常時携帯させるきっかけになるのでなかなか秀逸なアイデアだと思う。こいつをもっと作り込めば、単体でNike+iPodを実現できそうだが。まあNike+が想定するハードな運動を計測するには足にセンサをつける必要があるのかもしれんが。
 意外と楽しいのが「本体振ってシャッフル」だ。どうも単純なシャッフルではなく、さっきまで聴いていた曲と何かしら似た感じ、つながる感じの曲が出てくる。そして、2回続けて振ると(2曲連続でキャンセルすると)さっきまでとはまったく違う曲調のものが出てくる。ブルーズを聴いてて1回振ると別のブルーズが出てくる。こいつが気に入らなくてまた振るとブレードランナーのテーマに変わったりする。なんかAIが僕の気分を読み取っているみたいだ。加速度センサは「どういうふうに振られたか」までわかるのだろうか。機嫌良くシャッフルすると似た傾向のものが出てきて、ご機嫌ななめでシャッフルすると「ごめんなさい、これならどうですか」とばかりに違うを出してくる、みたいな?
 そして、これまで使ったことなかったけどiTunesのGenius Mixを聴いてみると、これが意外に良い。当方の知らないうちに「オルタナティブ/パンク」「サウンドトラック」「ブルーズ」「クラシカル」「ジャズ」「ニューウェーブ/ポップ」「レゲエ」「ロック1」〜「ロック5」などのプレイリストを作っている。これがまた、全ライブラリからまんべんなく抽出しつつ、当方の好きな(割と聴いてきた)曲を中心に、あんまり聴いてないけど似たような傾向のものを適度に拾い出してきた、なかなか気の利いたプレイリストなのだ。だから100GB近くある全ライブラリを10GBくらいに間引いて詰め込んでるのに、なんだか自分のお気に入りが全部この小さなiPodに入ってる気分になる。自分で天才(Genius)を名乗るだけあって、なかなか侮れない。不届きなやつだ。
 シャッフルで聴いてると、予想もつかない曲がクロスフェードでつながって現れてくるのがとても楽しみになる。実にドラマチックなのだよ。カントリーとかロックで気分が上がってきたとこで宮古島民謡が流れて、宮古のオジィが意外にブルージーなことに気づいたりする。


 Appleの製品はいつも何かしら「驚き」を与えてくれる。虚仮威しのこともままあるけど、今回のサプライズはとてもよかった。音楽を楽しく聴くための機能進化は、Appleの社員たちが本当に音楽を好きなことを感じさせる。SONYも昔はそうだったんだけどな。ラジカセの頃は。会社が大きくなりすぎて、系列のレコード会社の権利を守ったりする機能を盛り込んだりしたあたりからまったく魅力がなくなった。音質はいまだにSONYのほうが良い、という人も多いけど、使い勝手を含めた全体で、どれくらい楽しく音楽を聴けるかはAppleの圧勝だと思うよ。
 木曜の晩はこいつを聞きながら歩いてみた。楽しい。また歩きたいのだが昨日も今日も雨だ。残念だ。