新々リストラなう日記 たぬきち最後の日々

初めてお読みの方は、<a href="http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20100329/1269871659">リストラなう・その1</a>からご覧になるとよいかも。

桜田門の検察庁に行って、前田元検事を告発してきました

 
 雨上がりのどんよりした空の下、電車を乗り継いで桜田門に行ってきた。昨日の話です。そして有志の面々とともに、検察庁へ告発状を提出してきました。
 え? 告発って誰を?
 前田恒彦(元大阪地方検察庁特捜部検事)氏を、特別公務員職権濫用罪の疑いで刑事告発してきたのです。
 なんでお前が?
 いやー、一番当惑しているのは僕自身です。なぜ僕が? どのツラ下げて?


 先日、知り合いから「こーゆうwebサイトがあるから見てみ?」と教えてもらったのが「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」でした。
 厚労相企画課長(当時)の村木厚子氏を逮捕し160日も拘束した前田検事(当時)の件はみなさんご存じと思います。前田氏はすでに起訴されていますが、その容疑は「証拠隠滅罪」で、懲役2年以下or罰金20万円以下です。これはちょっと不当に軽くないか?ということで健全な法治国家のために声をあげる市民の会(以下「市民の会」と略す)の有志の面々が「特別公務員職権濫用罪」での処罰を検察庁に求めた、というわけです。


 なんでこんなのにたぬきちが噛むの? という疑問ですが、これは…一篇の詩に心を動かされたからでした。
 その晩、僕はポール・バーホーベンの「ブラックブック」を見てたんですわ。ご存じですか映画「ブラックブック」? 1944年、占領下のオランダ、レジスタンスのスパイとしてナチに接近するユダヤ人女性の物語です。暴力と収奪、陵辱、ウソ、堕落…がこれでもかと描き込まれた作品です。巨大な暴力に歯止めを掛けようと個人個人が戦いを挑みますが、それがどんだけ大変かも執拗に描かれています。
 この映画を見たあと、「市民の会」webサイトで下記の詩を読んでしまったのです。


 彼らが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった、
 私は共産主義者ではなかったから。


 社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった、
 私は社会民主主義ではなかったから。


 彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった、
 私は労働組合員ではなかったから。


 彼らがユダヤ人たちを連れて行ったとき、私は声をあげなかった、
 私はユダヤ人などではなかったから。


 そして、彼らが私を攻撃したとき、
 私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった

 ドイツの神学者の詩だそうです。テーマはもちろんナチス、いやナチスだけじゃなくて、暴虐に晒される個人たちと、暴虐が自分の間近に及ぶまで気づかなかった自分への悔恨、がテーマですね。
 映画「ブラックブック」は、ナチスの暴虐と、暴虐に立ち向かった個人たちの苦闘を描いていました。あれは…悲惨です。そして暴虐の中で人間がどれほど人間性を失わせられてしまうか、も描かれていました。悲惨です。(悲惨だけど非常に面白い映画なのでぜひご覧になることをオススメします)
 で、ああいうことになるのは御免だな…と思った瞬間、指が動いてメールフォームをクリックしていた、というわけです。


 はっきり言って付和雷同だろ、自分がどんだけ偉そうなことやってるかわかってんのか、軽率じゃないのか、そもそもお前にそんな資格があんのか、キャラが違うんじゃないか、といった様々な“僕”の中の声が聞こえました。でもまあ、銃や爆弾で暴虐に立ち向かうよりは遙かに穏当だろ、という声も聞こえたんですね。それで告発状に名前を連ねることにしました。さらに検察庁へ向かう有志の尻にくっついて行ってしまい。はは。


 昨日やったのは、「告発状を検察庁の事務の人に渡した」だけです。この告発が受理されるかどうかはまだわかりません。さて、どうなるんでしょうか? この続きは随時載っけていきます。


 それから、「市民の会」をTwitterで知った岩上安身さんがUstreamでインタビューをしてくださいました。(録画ファイルがあります→ここです
 検察庁に行ってどうやって告発状を渡したか、とかのレポートは、くろねこの短語さんがルポしてらっしゃいます。(エントリは→こちらです
 最高検察庁に宛てた告発状、意外に読みやすくて面白いです。(PDFで500KB→これです