新々リストラなう日記 たぬきち最後の日々

初めてお読みの方は、<a href="http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20100329/1269871659">リストラなう・その1</a>からご覧になるとよいかも。

リストラなう!番外編5 コメントありがとう再び

 土日は寝てばかりだった…。ネタがないので「話題に困ったときは食物の話がいいですよ」という親切な助言に従おう。今夜はカトキチのレンジで温めるご飯が安売りだったので買い! さらにセブンイレブンで餃子二三〇円とエビサラダ三九〇円を買って豪華版の夕食!でした。……全然盛り上がらんなこれじゃ。堀江貴文さんは毎回がんばってグルメな話をメルマガに書いてるけど、すごいと思うよ。てゆかNHK大河ドラマ龍馬伝」見ながらご飯食べたのでよけい味がようわからんかった…。最近の「龍馬伝」は面白いですよね。やけにスモーキーな画面やオーバーアクションな演技に慣れたからかな? やることなすことがうまくいかなくなった武市半平太をとても他人に思えないからか? 物語自体に推進力が生まれ、エキサイティングになってきたと思います。でもご飯食べながらテレビ見るのはもうやめよう。ご飯に失礼だ。
 というわけで今夜は最近いただいたコメントに感謝してお礼を述べたいです。


1Q84』と『1984』が関係してるってコメント、ご指摘いただいてなんなんですが、やっぱりわからない。俺の読解力はどんだけ低いんだってなさけなく思いますが、書かれてることはむしろ一九八四年の話じゃなくてむしろ一九九四年頃がふさわしいよーな話だし、一九八四年当時を想起させることははなから目論んでないようだし、いわんやオーウェルとのつながりにおいてをや、いくら考えてもよくわからんです。謎が多いということではとても魅力的な小説だと思いますが。
 もっとも、東京に戻ってきてからはbook3を開く時間がまったくなくて、たぶん続きを読めるのは月が変わって晴れて失業者になってからでしょうw


「空気の読めない人でしょうか」というご指摘、そりゃそうでしょう! 空気読めたらこんなブログやりませんって。
 でもねー、空気読んで何かいいことある? と思うんですよね。それも、リストラされる(はい、もう「リストラされる」ってこと認めますんで)っつー時に。
 それとですね、いや俺は空気読めるよ!すっげー読んだよ空気!って自信持って断言できるんですよね逆に。だって辞めるって決めたのは、会社が望んでる空気を読んだからですよ。なんてねw
 今の会社や社会で一番大事な空気は「変わらなきゃ」ってことじゃないかと思います。おっと大上段に上から目線になってきたゾ、ちょっと我慢してくださいね。だから、そこの空気だけ読んだら、あとはテキトーにやりたいようにやるほうがいーんじゃないかと。一所懸命既存の構造に自分を合わせても、待ってるのは武市半平太と同じ運命ですよ。なんてねw


「書籍の営業なのに自社の本をまったく読んでいない」というご指摘。ごめんなさいその通りです。新刊の見本が回覧で回ってくるのでカバー・オビ周りの情報をチェックし、開いてぱらぱらと見たりします。これはと思うもの、あとイベントを行うものは借りて帰って読みますが、通読するのはまれですね…。書いててなさけなくなりますが。正直、速読できるようになりたいですけど難しいですね。とくに僕は小説はとても苦手です。勘所がつかめないので。
 知り合いの書店員さんで、ものすごい読書量の方がいます。ほんとに尊敬します。小説の場合、作品そのものも重要ですが、小説業界(文壇?)とか現代の文学史における作品・作家の位置を把握することがとても重要だと思うのですが、そういうことは教えてもらう一方だったりします。すみません。
 新書やノンフィクションだと作家・作品の位置づけ、いまこれを読む意味、僕にも把握しやすいんですけどね。それと自分が担当になってる本は当然読みますよ。時間を捻出するのに四苦八苦しながら。
 この業界は本が好きな人間が集まっているはずですが、本当に本が好きな人はみな苦しみながら働いてると思います。読まねばならない本と読みたい本は違うし、時間は限られてるし。難しい問題です。そして、それはいまや業界人だけの問題ではなくて、読者にも同じ問題が起きてると思います。時間は有限、という問題はこんだけ情報技術が進んだ現在でも解決できない最後の問題だと思います。


「本当に会社のことを憂いているのなら、退職金を自主返還すればいいのに」というご指摘。それは…しませんよね。経済合理性とか持ちださなくてもね。それにそんなことで会社に残る人の負担は減りませんよ。


Twitter秘密結社の件で「ROMってるだけの人が注文するのはいけないことなんでしょうか?」というご指摘、これは軽率な書き方をしてしまいました。申し訳なく思います。Twitterで発言しなかったお店は注文してはならん!なんて言うつもりはさらさらなくて。
 問題はそこではなくて、予想を超える大部数の注文をくださったお店がけっこうあったことです。今回の秘密結社のみなさんの趣旨は、とても良い本を見つけたんだけど、それをみんなの努力で広めよう、無理な仕掛けじゃなくて身の丈にあった方法で、ということだと思います。それは『1Q84』のように売り場に本の塔を建てることではないと思います。今回選んでいただいた作品もそのような売り方がふさわしいかどうか、ちょっと考えどころかと思いますし。最大の問題は、そうした大仕掛けのせいで在庫がなくなってしまって、少部数だけど大事に売りたい、と言ってくださるお店に回す分がなくなってしまうかもしれないことです。そういう本末転倒を避けるべく、担当者は考え抜いて調整することにしたようです。
 Twitterもブログも、誰か一人が完全に制御することはできない媒体です。暴走状態にもなるでしょうし、潮が引くようにムーブメントが去るおそれだってあります(今回の秘密結社活動はそうならないと信じていますが)。どのようにお付き合いさせてもらうか、これから経験を積んでノウハウを蓄積していく課題だと思います。


スターリンラフィン・ノーズ、リップクリーム、ぬまじりよしみ、「王立宇宙軍…などに反応してくださった方、ありがとうございます。正直スターリンはいまいち僕にはわからなかったんですが。
 ぬまじりよしみは日本が生んだマンガ家の至宝の一人だと思います。本当に才能豊かな人で、いろんな業界に取材した働くヒロインのシリーズ?は素晴らしいです。最初の作品『ひがみちゃん&heartsJam』も大学が舞台のコメディとして歴史に残る傑作だと思うし。でも部数いかない人なんですよね、ご自分でも書いてらっしゃいましたが、コミック単行本で三万部の壁があるという。復刊されないかなあ、と切に思います。いや難しいのはわかりますけどね。


「このブログがまがりなりにも『面白い』としたら、それはたぬきちが今『中の人』だからだろ」というご指摘、その通りだと思います。ていうかもうほとんど「外の人」かもしれませんが、「まだ辞めてないけどリストラされた人」という素敵なポジションにいるから、このブログが読まれてるんだと思います。
 前にも書きましたが、このブログは今月いっぱいで終了します。それまでの束の間、よければお付き合いください。
 ていうか、辞めるまでの期間長すぎ、と思いますよね。僕もそう思います。「アメリカン・ビューティー」みたいに宣告されてその日のうちに段ボール一つ抱えて退社する、なんてのがリストラのあるべき姿だと思いますが。他業種、とくに外資やITではそうなんですよね。まあこの業界はリストラにも慣れてないんで、もうしばらくしたらスピーディなリストラができるようになるかもしれませんね。


■同級生さん、こんちきさん、「体調が良くない家族に本当のことを言えない」、これは本当に辛いですね。本当のことを言えたら、と切に思います。ただ、親御さんだったら、今の苦境を話すことが一番良いんじゃないかなと思うんです。親は、偉大なもんです。子どもが本当のこと言えなくて苦しんでたって知ったら、絶対に「そんなこと聞きたくなかった」とは言わないんじゃないかな? むしろ「話してくれてありがとう」って言ってくれるんじゃないかな。
 このブログは田舎の両親も読んでて、母の日に花を送ったら「お前のする事見守る事しかできません」というメールが届きました。いやー、心配かけて親不孝だなーと思いますが、でもこんな形ででも伝えることができて、ちょっとは親孝行なんじゃなかろうか?なんて思ってます。こういう身勝手が許されるのも子どもの特権かと。
 親は、子どもが苦しんでるのを見たくないと思うけど、苦しんでるのを話せなくてよけい苦しんでるのはもっと見たくないんじゃないかな。そして、話せば苦しいのは少しやわらぐんじゃ? ペットを飼ってる人はよくイヌやネコに愚痴を聞いてもらってるらしいですけど、話すことって治療効果あると思います。ごめんなさい、こんなことしか書けなくて。


「全部本に書いてあることばっかりでしょ?」というご指摘、これもその通り! 名著があるんです。
 田中達治『どすこい出版流通』(ポット出版)9784780801170、いま会社の先輩から借りて読んでるんですが、書籍の出版営業にとってはバイブルのような本です。読むのが遅すぎたなー。
 これは筑摩書房さんが出しておられた「営業部通信」の一九九九年から二〇〇七年までをまとめたものです。著者は筑摩の営業を長くやられた方で、残念ながら二〇〇七年にお亡くなりになっていますが、その遺志を継いだ方々が出版されたようです。有志の方々による詳細な注釈がつけられており、返本・逆送・オンライン発注の問題点など、僕のような半端物営業マンには本当にわかりやすい入門書でした。
 筑摩書房は一九七八年に営業不振で一度倒産(会社更生法適用)している。著者はそれを入社三年目で経験し、以来営業マンとして会社の再建に尽力された。倒産の理由を著者自身は「200人を超える高給取りを抱え、高級酒を浴びるように飲み、仕事としての物流を賤視し、だれひとりその仕事を買って出ず…」と書いている。こりゃ、全然他人事じゃないよ! 倉庫勤めだった若い頃、先輩編集に帯同して出版クラブのパーティに行き、先輩から「君も将来は編集に上げてやるから今は我慢しろよ」などと言われたという。この上から目線の考え方、今はきっと筑摩書房さんにはないと思うが、僕が働く会社も含めて他はどうかな? 読んでてヒリヒリ痛い名著です。
 筑摩さんは三十年前の倒産を機会に体質を変え、給与を下げ、近代化を図って今日に至っておられる。いま僕が働く会社はリストラという外科手術によってソフトランディングを図ろうとしているが、どうだろうか、成功するだろうか。成功させてほしいと思う。こんなブログ読む暇があったら『どすこい出版流通』読んでよね、同僚のみなさん。て思いました。


■同僚?からもコメントをいただきました。「最近の日記、本当につまらないですね」「彼がブログを始めた“真意”を知ってる我々としては…」と。
「つまらない」ってのはすいませんね、本人も何が面白くて何がつまらないかわからずに書いてるからね。あなたの職種が何かは知らないけど、編集だったらどこがつまらないか、なぜつまらないか、編集らしく指摘してくれたらありがたいです。
 思うに「つまらない」には、「そもそも受け手がそのテーマに興味がない」と「せっかくいいテーマなのに送り手の力量不足でつまらない」の二通りがあるかと。どっちなんでしょうね。販売の話には興味がないのかな? いや、きっと後者だよね。
「真意」なんだけど、最近すっかりブログを始めた頃のことを忘れてしまって、いったい何で俺はこんなこと始めたんだと自問する日々です。これも知ってれば教えてくれるとありがたい。まあやってて面白いから続けてるんだけどね。そもそもこんな大勢に読まれるとは思ってなくて、毎日三十人くらいが読んでるみたいだから、百人くらいになるかな?と思ってた。本人が一番わかりません。
 読んでくれてありがとうございます。でも、こんなんよか上記の本を読んでね。頼みます。


 というわけで今回もテヌキ更新でした。第二部「頂上作戦」だか「硫黄島からの手紙」を始めようと思っていたのですがもう始まったのかな? 本人も首をひねるばかりですが、とりあえず続けますんで。(つづく)