新々リストラなう日記 たぬきち最後の日々

初めてお読みの方は、<a href="http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20100329/1269871659">リストラなう・その1</a>からご覧になるとよいかも。

東京マラソン顛末again 呪い編

別のものに書いたのをちょっと直して再録する。いろいろ混乱しているので書くことで考えを整理したいのだ。前のエントリと重複するとこがあるがすみません。


◆先週、大々的に告知させていただいた「東京マラソン挑戦」、結果はたいへん残念なことになりました。
 なんと、15キロ地点(品川折り返し)の関門で制限時間をクリアできず失格!タイムオーバー!だったのです。

◆当日は冷たい雨でしたが周りのランナーはみな意気軒昂、僕も気分が盛り上がって寒さは平気でした。直前の情報で最後尾ブロックはスタートライン通過まで30分近くかかると聞きましたが、その通りの不利があったけど、そこから沿道の応援を受けながら1キロ8分の楽なペースで進めました。

東京マラソンはたぶん日本で一番人気のある大会だと思いますが、走ってみてそのわけがわかりました。楽しい!運営も良い!何より、普段クルマに占拠された路上を広々と走れるのは気持ちいい!飯田橋をすぎる頃には身体も温まり、脚は自由に動くし、全身快感にどっぷり浸かっていました。日比谷で10キロマラソンのランナーたちと分かれるのですが、「ああ、かわいそうにあの人たちはもう終わっちゃうんだ」とさえ思う余裕が。

◆日比谷の10キロ関門を過ぎてしばらく、芝公園でトイレに寄りました。これが敗因でした。すばらしい運営体制の大会なんですが、寒いのでトイレだけはどんなに設置しても足りません。それまでのトイレポイントも「30分待ち」などの表示が出ており、「ここなら早いかも」と選んだ芝公園も結局20分以上かかったのです。再び走り出したのは11時33分頃でした。

◆その後、品川の15キロ関門が11時48分に閉鎖される、というのを知って、12キロポストから焦ります。僕は1キロ8分でしか走れません。13キロを過ぎたところで周囲のランナーたちはものすごい飛ばしようです。僕も、残りの脚を考えずに飛ばしました。1キロ6分台、一瞬は5分台くらい出したんじゃないかな? 死力を尽くした先で待っていたのは、「15km関門 閉鎖時刻 11:48」という看板と、路上に張られたロープだったのです。

◆品川へ応援に来てくれた同僚がいまして、彼らによると、運営側はものすごい正確さ・冷酷さで時間に遅れたランナーを閉め出していったとのことです。僕は3〜5分遅れだったので関門閉鎖直後の残酷な光景は目にしませんでしたが。その後も三々五々到着する失格ランナーたちは、路上から下がるよう命じられ、しょんぼりとバスを待つのです。
 コースの閉鎖が解除されるとかなしいものです。それまでの祭りの盛り上がりとはうって変わって路上はクルマが我が物顔に走り出します。やがてボンネットに「収容」と大書されたはとバスが来ます。ランニングウェアだけで冷え切った失格ランナーたちは毛布を受け取ってバスに乗り、本来ならゴールだったはずの国際展示場に向かいます。そう、本来ならゴールだった場所。今は「収容」バスで運ばれるのだから、行き先は「収容所」ですね。悲しいです。

◆スタート地点の新宿から運ばれた手荷物が広い広い部屋に整然と並べられています。ゼッケンと照合してささっと手荷物を受け取り、これまただだっ広い更衣所で着替えます。もう13時近くですから、完走した市民ランナーたちもいっぱいいます。彼らと一緒に着替えるのがまた屈辱的なんですよねー。って、しかたないですけど。

◆本当に、不完全燃焼でした。一緒にバスに乗ったランナーたちはみんな声に出さなくても「もっと走りたい、走れる」と思っているのがよくわかりました。僕もそうでした。実際は、2キロもムリに飛ばしたので、もし関門をクリアできたとしても完走できるかどうか、たぶんムリだったんじゃないかと今は思いますが、あのときは「もっと走れるのに」という悔しさだけがあり。

◆この不全感。不完全燃焼。悔しさ。自己嫌悪。この気分は…何かに似ている…、そう、いいトコまでいったのに失敗したSEXに似てるんだ! なんてこった! だから後を引くのか!

◆怨み、怨念というものを僕はほとんど経験せずにきたのですが、今回は心底、怨みをいだきました。誰にって、自分に! あれだけ周到に準備したつもりで、肝心なタイム関係のマネジメントをおろそかにしていたとは! 痛恨の判断ミス!

◆そしてもう一つ。あの楽しさ、快感をもっともっと感じていたかった!それなのに! という、勃起中折れ感というか(下品ですみません!)本能的な飢餓感に襲われるのです。僕はきっと、このようなカタチで引き裂かれた東京マラソンに恋をしてしまったんだろうと思います。恋とか夢というのは、こじらせたら“呪い”です(ライムスター「ワンスアゲイン」参照)。

◆負け戦の後、みなさんの応援をあらためて見て、心で泣きました。直前に「浅田真央やキムヨナの体調よりお前さんの体調が心配だ」とまで言ってくださった方もあるのに。ああ、浅田のように泣けたらいいんですが、彼女と違って全力を尽くしてないので、涙を流す資格すらない!>俺。

◆この狂おしい恋、別名“呪い”を解くにはどうすればいいのか。一つだけわかっているのは、誰かに解いてもらうことはできない、ということです。俺自身がやらなきゃ呪いは解けない。怨みは消えない。

◆今はリベンジの計画をひたすら練っています。そして膝痛が引いたら、じわじわと復讐戦の準備をするのだ! なにしろ手元には万全の道具たちがあるからな。

◆今回は『練習ゼロで完走できる非常識フルマラソン術』9784334975876を実行することに主眼を置きました。そして、タイムマネジメントさえしっかりやれば、この方法は十分有効ではないか?との実感をつかみました。この本のせいで負けたのではありません。それだけは断言できます。
 僕はもともと左膝が悪いのですが、あれだけ無茶な走りをしたのにこの程度の膝痛ですんでいる。非常識な量のテーピング、高価な機材は、実際役に立ちました。そしてこれらの道具はまだ手元にある!


※こっから加筆部分
今僕は左膝の痛みを取ることに全力を注いでいる。ジョギングの延長くらいの距離しか走ってないとはいえ、2キロの全力疾走はかなりこたえた。古傷が再発しているのだ。
僕の脳は走ることの快感をちょっと知ってしまった。しかも一番いいとこで競争中止になったので、その先を知らない。射精してないようなものなのだ。この狂おしい童貞病、どうしてくれる。
知り合いのランナーから「35キロ以降の世界を体験してほしい」と言われていた。いったい何が待っているのか。その先に何があるのか。
“童貞男子”の単純な脳を、夢というか憧れというか、はっきり言ってしまうと「呪い」が支配する。
僕は二つの呪いにかかったのだ。一つは、未遂に終わったSEXの呪い。雪辱し怨念を鎮めなければ。もう一つが冒険への憧れだ。この先に何があるのか。古来、幾多の頭の悪い勇者たちがこれにかかって命を落とした類いの呪い。スナフキン病、とでも言うか。


今の気分は「びりっけつだけど東大に合格する力をつけた。だけど共通一次足切りされた!」って感じ。例えが古くてすみません、そういう世代なんで。
つまり、浪人生なんだな。呪いと浪人状態は似てるというか。