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新々リストラなう日記 たぬきち最後の日々

初めてお読みの方は、<a href="http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20100329/1269871659">リストラなう・その1</a>からご覧になるとよいかも。

兵頭二十八『無人機とロボット兵器』と史的唯物論

たとえば、
「最前線で戦う将兵や装備の数に比して、後方で支援する将兵や装備の質と量がとことん分厚いのが、米軍という組織の伝統的な強みだった。」
とか、
「近代以前の農耕文明圏の軍隊では、武将が馬1頭に乗るためには、複数の馬と複数の馬丁が最低でも必要だった。……ところが遊牧民は、伝統的に、1人のオペレーターが多数の家畜を統御できるようになっている。……原始的な農耕都市国家より数分の一しかない総人口でも、互角の戦闘員を揃えることができたのだ。モンゴル軍に至っては、食料にまで自走させた。すなわち、豚は集団を組んでくれないし、牛の集団は女子供の手に負えないけれども、羊ならば、草の根を食みつつ、後から集団でついてきてくれたのだ。」
といったフレーズは、ジャレド・ダイアモンドとかのファンには堪えられないと思う。
史的唯物論はすっきりして気持ちが良い。現代の唯物論は、心の問題も定量的に扱うので、その冷酷さが痺れるほど気持ち良い。本書ではドローン兵器運用におけるストレスや困難もきちんと述べられている。2009年初版。

史的唯物論は、僕の場合、マルクスとは無関係で、米国の人類学者マーヴィン・ハリスを読んで強い影響を受けた。
いちばん有名なのは『ヒトはなぜヒトを食べたか』だろうか。『食と文化の謎』などは米国でポップな人類学の本としてスーパーで山積みになって売れていた、とのことだ。いつ頃か知らないが。

 

ハリスの説明というか謎解きでいちばん面白かったのは、ユダヤ教イスラム教の豚の食タブーだ。これまで、寄生虫だとか不潔だからとかいった説明がされていたが、「豚の餌はヒトと競合するので、とくに砂漠地帯では豚を飼うことは致命的な贅沢、ゆえに規制された」というハリスの説がもっともシンプルで筋が通っている。最近はこれが一般的に認知されてほぼ定説になっているのではなかろうか。
しかしコスト/ベネフィットで何もかも考えるというのは、本当に冷酷なことである。
だが、戦争のように是が非でも勝たねばならない場面では、どれくらい冷酷な判断をし、実行できるかが勝敗を決すると思う。それは、制度的にストレスが大きいことでも果断にやる、といった冷酷さである。自衛隊は正面装備ではなく支援体制を強くしないといけないと思う。今のままではまた外地で兵士を飢えさせてしまうと思う。