新々リストラなう日記 たぬきち最後の日々

初めてお読みの方は、<a href="http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20100329/1269871659">リストラなう・その1</a>からご覧になるとよいかも。

中島義道に怒られてみたかった

中島義道。大人気の哲学者である。彼の本を、時々僕も読んでいる。
これとか。

この人は、本当に言行一致の人らしい。電車の中で化粧している少女に向かって「車内での化粧はやめなさい!」と大声をかけ、少女を追い詰める。
やれやれである。
だがまあ、たまにはこういう人が居てもいいか。
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この人の態度はこんなだから、本書のタイトルも逆説やレトリックではない。
本気でこう考えているし、この人の本は一貫してこんな感じらしい。
『自分の弱さに悩むきみへ』というタイトルの、若者を励ますような著書もあるが、それは「人生は生きる甲斐なんてないから、そう認識して生きていけ」という、よくわからない励まし方である。
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この人とよく似た人、いやキャラクターを知っている。
ムーミン」に登場する厭世的な哲学者「じゃこうねずみ」である。
彼は日がなハンモックに揺られながら『すべてが無駄であることについて』という本を読んでいる。時折厭世的な言葉や、超上から目線の嫌味などを云ってムーミン一家を不快にさせる。彼の嫌味に動じないのはママだけである。
中島義道の嫌味がオバサンにはまったく通じないのとよく似ている。
そんなわけで、読めば読むほど本書の著者の姿形がじゃこうねずみに変換されて私の中で像を結ぶ。電車の中で少女に食ってかかるじゃこうねずみ。無視されて怒り、腹いせに少女の写真を撮るじゃこうねずみ。少女にそれを奪われまいと肘を突っ張るじゃこうねずみ。少女を蹴ろうとして足が届かないじゃこうねずみ
私はというと、ハンモックでこの本を読もうとして、うかうかと寝てしまうのである。厭世的な哲学愛好者にすらなれない。
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中島は電気通信大学の教授だったとき、調布の商店街のうるさいスピーカを引っこ抜いて捨てたりしていたそうだ。2009年に退任したらしいが、それ以前だったら調布の街でうるさくしていたら中島義道に𠮟られたりしたのだろうか。𠮟られてみたいものである。