新々リストラなう日記 たぬきち最後の日々

初めてお読みの方は、<a href="http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20100329/1269871659">リストラなう・その1</a>からご覧になるとよいかも。

幻想画家ベクシンスキーに夢中

 今朝は、涼しいですな。

 最近、この人の絵が好き。ポーランドの幻想画家、ズジスワフ・ベクシンスキー(名前が覚えにくいよね…)

 公式のバーチャル美術館がある(http://beksinski.dmochowskigallery.net/galeria_past.php?lang=e)。
 このweb美術館は、スライドショーで彼の作品を画面一杯に広げて楽しめる。年代別・技法別などに分類されており、見やすい。
 彼の作品には題名がなく、見る側が判じ物のような解釈をせずにすむ。大人な作者だなーと思う。実際に見るとわかるけど、どの作品もみな、わかりやすい。見る側に鑑賞する主導権をやさしく委ねている感じがする。デビュー時から人気だったというのも納得する。

 僕は自分には絵心がないと思っていたし、画を見るような趣味もないと思っていた。アンリ・ルソーなど素朴派展やポーラ美術館のフジタとかは人に連れられて見に行ったが、まあ気に入ったんだけど、忘れてもかまわない感じだった。「連れて帰って部屋でも楽しもう」とまでは思わなかった。ルソーは絵はがき2枚買ったけどね。
※ポーラ美術館(http://www.polamuseum.or.jp/exhibition/03_17.html)からお借りしました。
 ルソー、みんな好きだよね。ホッとするわな。

 ベクシンスキーの画は、初めて「欲しい」と思った。一人でじっくり見たいなー、と思った。

 最近は、夜寝る前にベッドで彼の作品をぺらぺら、といくつか鑑賞するのが、楽しくてしょうがない(バーチャル美術館はjpgなのでダウンロードして保存できる)。ルソーと違って暗く陰惨な画だけど、見ていると気持ちがやすらぎ、リラックスしていくのがわかる。

 ベクシンスキーの風景はほとんどが荒野や廃墟だ。人物は骸骨や畸形やケロイドやエイリアンで、美しいものはほとんど描かない。でも、ハッとするくらい神々しい画があったり、ごくまれにチラッと描かれた植物が(彼はほとんど植物を描かない)乾いた画面に潤いを与えている気がして、気持ちが良いのである。

※彼の描く十字架はT字型。映画「キリスト最後の誘惑」なんかもT字型でしたね。

ベクシンスキー 3回」で検索すると、「3回見ると死ぬ画」がヒットする。僕は福澤徹三のエッセイ『怖い話』でそれを知ったのだが、ほんと良いものを教えて貰ったと思ってる。

 今頃ベクシンスキーを知って喜んでいる、流行遅れの自分がちょっと恥ずかしいが、流行とは関係なく出会えたことは幸運でもあったと思う。
 福澤は言う。「そもそも、この絵を見ようと見まいと、人間はどのみち死ぬので、死なないほうが不思議である。」このあっけらかんとした物言いは、ベクシンスキーの、実はちょっとユーモアのある画風と似ている。

※エントリ内のベクシンスキー作品は公式のバーチャル・ミュージアムから借用しています。