レッツ音頭ナイットゥゲザー! @すみだ錦糸町河内音頭
「第31回すみだ錦糸町河内音頭大盆踊り」に行った。8/29(水)。
行く前はそんなに期待していなかったのだけど、丹波哲郎的に言って「行ったら驚いた」って感じ。なんか極楽が現出したような、夢のようなイベントだった。
17時に現地に着いたのだけど、まだ始まりはこんな感じで人出も少ない。会場入ってすぐのところにブルーシートが敷かれた一角があり、お客さんたちが坐って飲み食いしている。僕もそこに持参のグラウンドシートを出して柿の種で発泡酒なんぞ暢気に飲んでいたのだが、
会場最奥部のステージに灯が入ると、なんだか周りの空気が変わるのである。なんかヒートアップしてくっぽい。
ステージは提灯が煌びやかだけど、至ってシンプル。それよりサウンドがすごい。ギター、ベース、三味線、太鼓。ボーカルのことは「音頭取り」と呼ぶのだそうだ。なるほど。
僕は笛がぴ〜ひゃら鳴るような祭り囃子があまり好きではない。風情はあるけど音楽としては面白くないよね、と思う。前に住んでた雑司ヶ谷には鬼子母神の御会式というビッグイベントがあったけど、視覚的には面白いけど音楽としては全然そそられなかった。あれもぴーひゃら系。
河内音頭はすごい。何しろダンサブルである。ビートが効いている。グルーヴ感満載。一発でノックアウトされた。
河内には百を超える音頭の会派があるそうな。沖縄と同じく、生活と音楽が密着してるんだな。
誘ってくれたteruさんが教えてくれたのだけど、三十数年前、東京に河内音頭を勧進したのは故・朝倉喬司なのだそうだ。パンフを見ると、テイチクの広告が出てる。河内音頭のCD、聴いてみたいよね……と思ったら、「久保田麻琴」という名前が見える。これは去年見た宮古島の神歌の映画に出てた人だ。なるほど、こういう人たちのラインなんだな。
写真は暗くてよく見えないだろうけど、踊ってる人たちのテンションがどんどんあがってくる。4時間くらい演奏があるのだが、終盤では老練な音頭取りが登場してきて、演奏もヒートアップしてくるみたいだ。
歌詞はほとんど聴き取れない。「桂春団治」「幡随院長兵衛」「佐渡情話」「岸壁の母」「河内十人斬り」「姿三四郎」「大楠公」といった演題らしいのだが、なんと楽譜はないという。バックバンドがリズムを刻み、ギターや三味線が適当にリフを入れてくるのに乗せて“語る”んだね。浄瑠璃や祭文語りの系統の芸能なんだそうだ。ラップか。
二十年前、池袋西口に「キングストン」というレゲエ専門クラブがあり、時々行っていた。僕は踊れないけど、ここでレゲエ聴きながら酒を飲んでいたのだ。だが一般にイメージするレゲエではなく、完全にラップだった。ジャパン・サンスプラッシュとかに来てたアーティストも、ほとんどがボブ・マーリィみたいな歌う人ではなく、サウンドシステムにマイク一本でやってるラッパーが多かったと思う。
河内音頭は、そういうダンス系レゲエとそっくりだ。河内家菊水丸には「レゲエ一代男〜ボブ・マーリー物語」という曲もあるというから、両者は非常に近い関係なんだろうね。ジャマイカの人たちが河内音頭をどう思ってるか知らないけど。
しっかし、素晴らしい音楽イベントだった。
僕は基本的にライブは嫌いだ。音が悪いし(今回も歌詞が聴き取れないのはストレスだった)、環境も良くないし、音楽を聴くならレコードが一番、と思っている。FMラジオでさんざっぱら「夏フェス」「フジロック」「サマソニ」とか言ってるけど、実は全然興味がない。
でも、昨日の河内音頭は良かった。心がとろけた。踊ってる人たちを見て、僕も踊りたいと思った。
たぶんサマソニやフジロックも行ってみればそれなりに面白いのだろうね。音楽には、正確さや完全さも重要だけど、一回性とか一体感も大切なんだなと思った。不完全でもいい、熱く盛り上がれば、ということか。
極楽がこんなふうなところだったら、早く逝きたいよね、と思うよ。
来年は、僕も踊ろう。事前に踊りの練習ができるらしいから、僕も練習しようかな。
いやー河内音頭、最高っす。
ちなみに今夜も開催される。今夜は2日目で楽日。みなさん行くがよいよ! 僕は昨夜飲み過ぎたので家で謹慎ですが。