新々リストラなう日記 たぬきち最後の日々

初めてお読みの方は、<a href="http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20100329/1269871659">リストラなう・その1</a>からご覧になるとよいかも。

リストラなう!その32 プチ更新なんだよ

■昨日から『インビクタス』(NHK出版)9784140814062を読んでいる。映画になったとこだけ拾い読みしよーと思ってたのだがめちゃめちゃ面白いので結局アタマから読んでいる。マンデラについては離婚歴とか就任後にヨハネスバーグの治安がすごく悪化したこととかもあって、この本に描かれているだけが彼の真の姿じゃなかろうとは思うけど、それでも凄いと思う。
 人を動かす、ってことは大変なことだ。権威・権力で他人に影響を与えることしかできないのが普通の人だけど、マンデラは囚人の立場でも周りに影響を与え続けていたという。貧乏白人の看守たちが彼に心酔していたっていうあたり、やっぱりすげーやつだったんだなと思う。僕がもし牢に入れられたら、マンデラのように勇気と誇りをもって振る舞えるか?と想像すると、しょぼんとするばかりだよ。
 でも、牢に入れられる状況って誰もが裸一貫にされるわけで、財産も過去の権威もはぎ取られて素の個人となったときって本当の真価が問われる、ある意味チャンスなのかもしれん、とも思う。


■財産も権威も通用しない世界、これに一番近いのはもしかしてwebの世界かな?とも思う。もちろんリアル世界で有名人だったり大金持ちだったりした人がブログを始めれば最初から注目度は高いだろうから、無名人が始めたブログとはスタートラインが違うかもしれない。けど、長く続けるうちに権威や名声に人は寄ってくるんじゃなくて書いてることが面白いかどうかで評価されるようになるあたり、webはすげーと思う。ものすごく平等だ。荒々しいほど。webの世界ではみんなが裸一貫、というか。
 拙ブログもいろんな方のおかげで大勢の人に読まれるようになった(本当にありがとうございます。m(__)m)けど、自分でも「ダメだな今日は」と思うようなエントリを挙げた日はセッションがすごく少なくなるんだよね。Google Analyticsだと翌日にはアクセスの全貌が見えてしまって、そのたびごとに心折れてます。webは荒々しいほど正直だ。ウソがない。


■昨日のエントリではボロボロ隙だらけの暴論を吐いてしまって、きちんと書けないまま更新してしまいひとりで落ち込んでいたのだが、コメント欄に多くの方が素晴らしい知見を寄せてくださったのでそれ読んで元気が出た。とくに「箔押し」についての僕の暴論は突っ込み処満載だが、的確なご指摘をいただき、それに対するレスが展開されたりして素晴らしいなあとただただ感心した。何かあるトピックに関して誰もがリングに上がって叩き合えるというwebならでは素晴らしい荒々しさ。コメントが一つ一つついていくことでだんだんと核心に近づいていく、本当にすごい媒体だと思う。
 紙の出版物はこのコミュニケーションのダイナミックさには絶対に勝てない、と改めて思う。もちろん紙には紙の良さがあるけれど、紙という静的な媒体が“ソーシャル”化した動的な媒体をいつまでも下に見てて大丈夫か。もう下克上は始まってしまって止まらない、と思う。


■コメントの中に一つだけ、「多くの出版社が水増し部数やありもしない増刷で広告を打ったりしている」(要約)という気になるものがありました。僕の経験では、新聞広告に部数を載せるときは印刷証明を提出していましたから、それはない、と思います。他社は知りませんが。


■しょうもないエントリでも、コメントをつけてくださるみなさんが寄ってたかって叩いて歪みを直してくれる、これが佐々木俊尚さんが僕に言った「インターネットが正義を実現する」ということの一つなんだろうなあ、と思う。いま僕はそれを実感している。
 もっと言えば、ウソを書いたら容赦なくウソが暴かれ、何か意図があったり“ためにする”議論をしたらことごとくその意図が暴かれ、web上の言論はどんどん透明性が高くなっていく、のかもしれない。


■5月13日に「質問すいません」さんからもらったコメントもずーっと気になっていた。

マスコミは情報を商材として、他者を論じる立場にあったかと思うのですが、
いざ自分の事となるとガタガタなんですか?(素朴な疑問です)

 新聞・テレビのことは知らないけれど、おっしゃる通り、出版社はこれまで「自分を論じられる」ことに慣れていなかったと思う。自分を語るときは「出版文化」なんてカッコいいこと口当たりの良いことだけ言い、他者とのコミュニケーションをさぼってきたと思う。それが何より顕著に出ているのは、週刊誌が「一流企業のボーナスはいくらだ!」なんて特集やるときに絶対に自社も同業他社も取り上げないことだ。自分が設定したリングなのに絶対に自分は上がらない、これってカッコ悪いぞと思う。
 他人が書いた原稿を入稿したり校了するだけで自分の表現衝動が満たされる、ということはある。でもそれじゃもったいない。この業界の人たちがもっともっとブログとかで自分のことを語らないかなぁ、と思う。そしてコメントやTwitterで叩いてもらえば自分の歪みがだんだん治っていくんじゃないかな、と。まあ僕の欠点である呑気なとことか能天気なとこはどんなに叩いてもらってもなかなか治らないんですが…。


■そろそろ日曜の夜が終わる。会社員として月曜の朝を迎えるのもあと三度。これまで月曜が来るたんびにちょっと憂鬱だったけど、あと何百回月曜を迎えればいーんだとか思ったけど、それがいきなり「あと三回」とかになるとちょっと新鮮だよー。
 ということで今回もまとまりのないエントリですみません。明日以降はできれば何かの出来事を取り上げてレポしたいと思いますが、そうそうネタも気力もないというのが実情です。でもまあ、ぼちぼちやりますんで、またお会いできれば幸いです。
 では『インビクタス』に戻ります。あ、ズッキニとパプリカを買ったのでラタトゥイユ作ろう。もう夏野菜が美味しい季節なんですねー。(つづく)