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新々リストラなう日記 たぬきち最後の日々

初めてお読みの方は、<a href="http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20100329/1269871659">リストラなう・その1</a>からご覧になるとよいかも。

これ何て五重塔?

 金曜の朝、日経新聞に15段(つまり全面)の広告が出てたんだよ。
 

 中国の名人(といっても71年生まれの若者だが)が全部手作りで制作した五重塔の模型、高さ95cmもある純木製の模型を20万円で通販します、ガラスケースは別売り5万円です、という通販の広告だよ。限定10個だって。
 そも、これはいったいどういうビジネスモデルなのであろうか。
 そして、この五重塔は何を模したものなのであろうか。


 1セット25万円だから完売しても250万円にしかならない。日経新聞の全面広告は250万円以上の定価のはずだ。まあこの不景気でかなりダンピングしてるだろうけど。もし50万円くらいの広告費だったとして、売り上げの残りは200万円。こんなんでビジネスになるのか?
 もしかするとこの美術頒布会を名乗る「東京書芸館」という会社は、こういうのを買ってくれる物好きで金持ちの顧客の名前を集めたくて、日経新聞なんてメジャーな媒体に広告出してるのかもしれない。この五重塔25万円なりはいわば撒き餌で、いったん買ったら「次はこんなのどうですか」と次々と中国の名人が作った高価な(それでいて高すぎない)美術品を売りつけられるのかもしれない。
 なーんて想像したんだが。どうかな。

 しかし、この五重塔、よく見るとヘンなのである。
 いちばん下の屋根の下には裳階(もこし)があるので法隆寺五重塔を思わせる。しかし法隆寺のそれは屋根の大きさが上層に行くにつれ劇的に小さくなっていくのだが、この中国製の塔はそれほどでもない。こんだけプロポーションが違ったら、それはもう別人だ。広告の説明文には「奈良の法隆寺や京都の東寺などの名塔を研究し、その造形美の精髄を余すところなく表現した」とある。つまり、エッセンスは汲んだけどオリジナルですよ、ということか。おいおい、法隆寺の塔は奈良時代東寺の塔は江戸時代の建築だぞ。それ混ぜていいの?
 あんまり詳しいことは知らないのだが、この五重塔はヘンだ。相輪(てっぺんのアンテナみたいの)は輪が九つくらいあるのが普通だと思うが、七つしかない。だから寸詰まりだ。


 これを作った中国の職人さんの手作業は大変だったなあと思うのだが、残念ながらあまりかっこよくない。五重塔の意味をきちんと知って作られたかどうかも怪しい。こういうの買って自宅や会社の役員室とか応接室に置いとくの、うれしいかな。これよりプラモデルのほうがプロポーションは明らかに良いだろう。構造が知りたいならこの木製のやつをカットモデルにするのもいいかもしれないが、実物の五重塔は内部に室内構造はなくて支柱とかが入り組んでるらしい、それ再現してあるのかな。とくに柔構造の肝といわれる心柱とかは。いずれにしろ、この商品の価値がよくわからないんだよ。


 日経新聞には前からこういう怪しい美術品の頒布会が広告を出していた。たいてい5段くらいだったと思うが、最近は15段だ。きっと同じ値段なんだろうな。メディアの凋落っぷりがここにも見えると思う。そして中国という国の、生産力のすごさも伝わる。雑さもね。