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新々リストラなう日記 たぬきち最後の日々

初めてお読みの方は、<a href="http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20100329/1269871659">リストラなう・その1</a>からご覧になるとよいかも。

毛髪鑑定——毛髪でのドラッグ検査が意外に難しいこと

 またしてものりピーにインスパイアされたドラッグねたです。
 逃亡中の酒井法子さんはミネラルウォーターをたくさん買って飲んでいたとのことです。体内・血中の覚醒剤をおしっこにして排出して、出頭したときの尿検査で出ないようにしたと。その目論見は見事に当たって、土曜に採取された尿は陰性だったと。
 ここで中途半端な知識を持つ僕なんかは、「でも毛髪には残ってるでしょ。毛髪検査で立件されるのでは」と思ったわけですが、テレビに登場する麻薬取締の専門家は「尿で検出できなければ訴追できない」とおっしゃる。なぜなんだろう? アメリカとかじゃ毛髪が一般的だよね? ブリトニー・スピアーズは毛髪検査でコカイン?が検出されるのを嫌がって丸坊主にまでなってたはず。


 そこで、たまたま土曜に図書館で借りて読んでた本に、重大なことが載っていました。その本とは、これ。
 
 この本は原題を「ミイラ会議」と言います。これは実在する学会で、何年かおきに南米のド田舎の砂漠(ミイラを産出する)とかにミイラ研究家が集まって情報交換するんだそうで。それが『ミイラはなぜ魅力的か』という邦題になったかは、まあわかりますよね。普通の人は、こう言われなきゃ自分がミイラのことけっこう好きなんだってことさえ気づかない。
 エジプト、南米、あるいはヨーロッパの泥炭沼に沈んだ死体、中国奥地から見つかる白人のミイラなど、世界各地のミイラを世界各地の研究者がいろんなかたちで研究していることがレポートされている。
 この中に、ミイラの毛髪を検査して、数千年前のドラッグ使用状況を調べている人がいる。ところが、その一人がとんでもない結果を出しているのです。
 ドイツの女性研究者は、何千年も前(つまり南北アメリカ大陸はまだ知られてなくて旧世界と接触してない)のエジプトの庶民のミイラの毛髪から、ニコチン、コカイン、マリファナ(の主成分テトラヒドロカンナビノール)を検出してしまったというのです。これは驚くべきことです。ニコチンとコカインはアメリカ大陸原産で、コロンブス西インド諸島到達前は旧世界の人類は知らなかったはずなのです。
 マリファナは昔からインド亜大陸にあったみたいだからエジプトに渡来しててもまあ不思議ではない。しかしタバコとコカは…。この研究者はおおっぴらには言ってませんが、古代エジプトと古代南米には交流があったと考えているみたいです。
 別のアメリカの病理学者は、似たような古代エジプトのミイラの毛髪を検査した結果、コカインは検出しませんでしたが、やはりニコチンが検出されました。これは本当に当惑することです。


 毛髪によるドラッグ検査はどうやるかというと、検体(毛髪)を蒸留水とエタノールで洗い、検体を鋼球で粉末に砕いて、毛幹に残っている分子を化学的に引き出せるようにする。そこに放射性同位元素で標識した抗体を溶液に加える。抗体はヒトの免疫系がつくりだしたもので、外部から体内に侵入してきた毒物を中和し解毒する物質だそうです。へーえ細菌だけじゃなくて毒物に対しても抗体反応ってあるんだ。そして放射性同位元素でマーキングした抗体は、検体のなかに目標のドラッグがあるとそこに集まって標的を封じ込める。この抗体は放射線を出すので、ガイガー計数管のような装置を使えば測れる、つまり検体に標的のドラッグが含まれるか、非常に精密にカウントできると。
 そしてですね、この本によると、アメリカでは裁判だけでなく就職などでも毛髪によるドラッグ検査が流行ってるらしいんですが、どうもその信頼性が揺らいでるらしいのです。実際にはやってないドラッグが検出されて、冤罪になる容疑者がいるかもしれないと。
 ヒトの毛髪はけっこうかんたんに環境物質を吸収し、たとえば同室の誰かがタバコを吸うと、吸わないあなたの髪にもニコチンが染みて蓄積されるとか。そしてぼくたち黄色人種や黒人の髪は白人の髪よりもより外界物質を吸収しやすいんだとか。とすると毛髪検査が人種差別の合理的な根拠になっちゃってる可能性もありますね。


 ではミイラの毛髪にあったニコチンはどこから来たのでしょう。ミイラを解体した部屋がタバコの煙でもうもうだったら、けっこう吸収されたかもしれない。もう一つの可能性は、タバコ以外にニコチンを含有する植物を摂取していた、かもしれない。たとえばナス、トマト、ピーマンなどは微量のニコチンを含むらしい。タバコもナス科だし。もっともナスやトマトも新大陸原産の野菜ですが。旧大陸にもナスのように微量のニコチンを含む植物があって、ミイラの制作過程でそれを使ったか、当時のエジプト人がそういう野菜を食べていたかもしれない。
 結局、この本ではエジプトのミイラから検出されたコカインの謎は答えが出てません。やれやれ。


 毛髪検査は精密・敏感すぎて、「こいつは確かに吸っていた」という証拠にはなりにくい、ということですね。のりピーが実際には吸ってなくても、旦那が「あぶり」やってるのと同じ部屋にいれば、彼女の髪にクスリが蓄積されててもおかしくないってこと。なるほどねえ。
 ところで夏は野菜が美味しいから、ラタトゥイユとか作るとこたえられませんね。ナス、トマト、パプリカ、ズッキーニ、オクラ。これをニンニクとタマネギ炒めたとこに煮込むだけ。よく見るとナス、トマト、パプリカ(トウガラシ)、ズッキーニは新大陸原産ですね。ニコチン含んでいるのかな?