新々リストラなう日記 たぬきち最後の日々

初めてお読みの方は、<a href="http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20100329/1269871659">リストラなう・その1</a>からご覧になるとよいかも。

プリウスってほんとに“環境に良い”の?

 プリウスが売れてるのでトヨタはフル操業で残業を再開した、って夕刊に出てた。そうかそりゃめでたい。
 最近、路上にはほんとプリウスが増えた。ホンダのインサイトはまだそんなに見ない。見かけてもプリウスとシルエットが酷似してるので「ああまたプリウスか」と思ってしまうのかもしれんが。タクシーもプリウス、増えたね。インサイトより後席が広そうだしね。まあ全部発言はイメージなんですが。

プリウス 1.8L 諸元
全長×全幅×全高 4460×1745×1490mm
室内長×室内幅×室内高 1905×1470×1225mm
ホイールベース 2700mm
最低地上高 140mm
車両重量 1310kg
乗車定員 5名
ドア数 5枚
エンジン
種類 直列4気筒DOHC
エンジン形式 2ZR-FXE
過給器 なし
総排気量 1797cc
使用燃料 レギュラー
燃料タンク容量 45L
性能
最高出力 99ps(73kw)/5200rpm
最大トルク 14.5kg・m(142N・m)/4000rpm
パワーウェイトレシオ 13kg/ps
燃料消費率(10/15モード走行) 38.0km/L
最小回転半径 5.2m

インサイト 1.3G 諸元
全長×全幅×全高 4390×1695×1425mm
室内長×室内幅×室内高 1935×1430×1150mm
ホイールベース 2550mm
最低地上高 145mm
車両重量 1190kg
乗車定員 5名
ドア数 5枚
エンジン
種類 直列4気筒SOHC
エンジン形式 LDA
過給器 なし
総排気量 1339cc
使用燃料 レギュラー
燃料タンク容量 40L
性能
最高出力 88ps(65kw)/5800rpm
最大トルク 12.3kg・m(121N・m)/4500rpm
パワーウェイトレシオ 14kg/ps
燃料消費率(10/15モード走行) 30.0km/L
最小回転半径 5.0m

 プリウスのほうがほんの一寸二寸ばかり大きめ。けど、二つは恐ろしいくらい似てる。とくに動力性能。排気量が500ccも違うエンジンなのに、出力があんまり違わないのはなぜなんだろう。プリウスのエンジンは1800ccにしては出力が控えめだし(100馬力超えてないのはトヨタの他のエンジンと比べるとおかしいよね)、インサイトは1300ccなのに出力大きめ。計測方法が違うのかな?(ホンダの測り方はプリウスに近い数値が出るようになってる?)よくわかんないけど。プリウスのトルクが14.5kgって、これは1500〜1600ccくらいのエンジンの出力だよな。
 当たり前だけど、燃費の数値がすごい。ま、これが売り物だから。でも実際に走らせると18km/Lくらいだ、ともいう。「プリウス 実燃費」とかで検索するとこういう数値がどんどん出てきます。
 しかし、これくらいの数値って、軽自動車ならふつうに出してると思うが。宮古島に行くたびにスズキやダイハツの軽自動車をレンタルするけど、20km/Lくらい走る。ちなみに僕が乗ってる車は燃費が悪い1600ccコンパクトなんだけど、混んだ山手通りとかだと7km/L、高速主体でやっと11km/L。これでコンパクトかよと思うけど気に入ってるクルマなんでしぶしぶ許します。
 それにしても、燃料エンジンと電池モーターのハイブリッドというのは、本当に効率の良いシステムなんだろうか。ふつうに考えると、燃料エンジンで動くシステムの上に電池モーターのシステムを載せているんだから、重くて複雑になってるわけで、効率は下がるはず。軽く単純にするほうが良かないか。アイドリングストップ回生ブレーキは良いシステムだと思うけどね。
 走ってる最中の燃費が良くなっても、バッテリーのメンテや交換費用、その他のシステムのメンテや交換費用はどうなる。駆動バッテリーは高いぞう。いまのとこバッテリー有償交換の事例はないらしいけど(それもすごいことだよね)、今のように大量のプリウスが売れてると、5年後とかもっと後に大量のバッテリー交換が必要になる、その費用は誰が負担するのだろうか。
 思うに、「お金がかからない」「自動車として効率が良い」「環境に良い」「イメージが良い」というのは、それぞれ別個の価値観であって、すべてが同時に成立することはないんじゃなかろうか。
 ハイブリッドは短距離でゴー・ストップが連続する都内のような交通環境では、普通の燃料エンジン車よりもすごく良い燃費だという。しかし高速を一定速度で長距離走るとかは苦手なんだという。モーターは走り始めは得意だけど一定回転の持続は苦手なんだって。峠のアップダウンも苦手らしい。バッテリーを完全に放電すると電池システムはただ重いだけのおもりになる。逆にバッテリーが完全に充電されると、エネルギーを溜めることもできないのでまたまたただのおもりになる。一定の放電と充電を繰り返せる(停止状態からの発進が繰り返されるような)状況が得意なのだと。これは「都内とかを走る自動車として効率が良い」わけで、完全無欠な自動車であるわけではない。
「お金がかからない」というのも本当に疑問だ。駆動用の大容量バッテリーは処理にもお金がかかるけど、いつかそれが実費としてオーナーに請求されるとどうなるか。それまで浮いたガソリン代が一気にチャラになるぞ。余分なシステムがついてると故障する確率も増えるわけで、そのぶんもどうなんだ。
「環境に良い」のもそうだよね。複雑なシステムを作り込むことが環境に良いわけがない。軽く単純なクルマで低燃費を実現することができれば、それがいちばん環境に良い。インドのタタ・ナノが燃費良ければそれが最高。現時点では日本の軽自動車が最高だと思うよ。普通車もマツダデミオとか13km/Lくらいふつうに走るっていうし。
 結局、プリウスインサイトの最大の魅力は「イメージが良い」ことだと思うんだよね…。
 虚像なんじゃないの?


 フォルクスワーゲンはさかんにTSIエンジン(過給器付き小排気量)を宣伝してる。ていうか主力車種をほとんどTSIにしてしまった。BMWは主力エンジンを3000cc直6ターボチャージャー付き一本にしてしまった。1シリーズから7シリーズまで全部同じエンジンが載ってる(グレードによるけど)。いずれも従来の燃料エンジンの効率を追求してるわけで、ハイブリッドじゃない。きっと両社ともハイブリッド研究はしてるんだろうけど、いまのとこは商品化しないんだろうね。
 日本では「ハイブリッドであらずば新時代のクルマにあらず」って感じの報道だけど、ほんとのとこどうなんでしょうか。この盛り上がりよう、なんかだまされてるのかな〜って気持ちがずっとしてます。