新々リストラなう日記 たぬきち最後の日々

初めてお読みの方は、<a href="http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20100329/1269871659">リストラなう・その1</a>からご覧になるとよいかも。

「漫画貧乏」の佐藤秀峰webなんだけど

■「ブラックジャックによろしく」などの佐藤秀峰が自分のwebで書いている日記がすごい話題になってますね。
「ブラックジャック」漫画家の「貧乏」月収なんと70万円しかない? - ライブドアニュース
 具体的なwebページはURLでは個別のコンテンツにたどりつけない作りになってる(著作権保護?)ので、ニュースを貼っておきますが。
 佐藤秀峰のwebはプロファール漫画とかものすごく濃くて読み応えがある(漫画賞の仕組みとか、業界の秘密がいっぱい暴露されている)。くだんの「漫画貧乏」と題されたエントリも面白い(出版社の原稿料システムとか、業界の秘密がいっぱい暴露されている)。
 けれど、単行本の売り上げや投入した労働量に比して彼の受け取る報酬が低すぎる、という議論には、少し違和感も残る。まず、彼の「月収70万円」というのは、彼が彼の個人会社から受け取っている役員収入なので、彼の総収入ではない。彼が使う経費も含めないと彼全体の収支の規模ははかれないと思う。
 そして、彼のビジネスモデルには「6人のアシスタント」という大きな固定費がかかっているところが問題。もしも勝間和代佐藤秀峰をコンサルしたら、「作画傾向を変えてビジネスモデルを見直しましょう」とか言われるんじゃないかな。
 でもそれじゃ漫画描いてる甲斐はないよね? こんな漫画はもう生き残れないの? という佐藤さんの苦しみは無視したくないですね。
 この問題は、一つには、出版社という既得権産業を告発している、ということ。もう一つは、経済全体が収縮して、同時に商品が大量・多様化しているコンテンツ産業の問題でもあるんじゃないかなと。
 佐藤さんの作品も載ってた「週刊漫画タイムス」、僕はこれの長寿連載「解体屋(壊しや)ゲン」がすごく好きなんですが、この作品はかなりシリアスなのに作画はチープです。もしこれで作者(石井さだよし)の収支がバランスしているなら、この作品はすぐれたビジネスモデルだなあと思います。……でも単行本がもう出ないので、相当苦しいと容易に予想できる。すごく面白いんですけどね…。解体屋ゲン