新々リストラなう日記 たぬきち最後の日々

初めてお読みの方は、<a href="http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20100329/1269871659">リストラなう・その1</a>からご覧になるとよいかも。

沖縄のおみやげ Part2

 旅行から帰ってみると仕事が山積で、平凡な会社員には旅行という趣味はなかなかハードルが高いことを思い知らされる。検索していると、「沖縄訪問は100回を越えました」なんて社長のブログがあったりする。経営者は社員なんかよりずっと忙しいだろうが、それでも、経費を使い、商談ということで沖縄を訪れることができるのは羨ましいと思う。現地でビジネスができれば、僕みたいなただの観光客よりも地元にカネを落とす額はずっと大きいしね。

 僕が沖縄に落としてきたのは、マブイと、ちょっとの額のお金だ。先日に続けてちょっと紹介します。


道の駅「許田」でいつも買う、チョコもち

 沖縄の高速道路(正確には自動車道)の北の終点・許田ICを降りてすぐのところに大きなhttp://yanbaru.city.nago.okinawa.jp/bussan.htmlがある。「やんばる物産センター」ともいう。アグーよりもさらに幻のやんばる特産豚肉を売ってたり、今の時期はタンカンが豊富。いつも買うのは外間かまぼこ工房の揚げたてかまぼこと、チョコもち。かまぼこはこの先持ち歩いて、次の昼食(沖縄そば)に入れる。
 チョコもちはご覧のような包みでぽってりと重い。検索したら楽天で買えることがわかった。→http://www.rakuten.co.jp/yanbaru/294857/427776/
 こいつの欠点は日持ちしないこと。7日経つと風味が落ちて固くなる。だからお土産には適さない。そもそも「明日は飛行機で帰る」という日に許田に寄るシチュエーションはあまりない。許田はやんばるの入り口だから、旅の前半であることが多い。だから買ったチョコもちは、旅行の間に1個食べて、帰った翌日急いで1個食べるくらいだ。
 味はまぎれもない駄菓子的チョコだが、食感はもちもちして不思議な食べ物だ。沖縄の人は餅米好きみたいだけど、これは素晴らしいミスマッチが楽しめるお菓子だと思う。日持ちしないので今以上にはメジャーにならないだろう。


沖縄最大の特産品は、音楽かもしれない

 今回買ったのはこんだけ。ふと気づいたけど、今回はマルフクレコードのを買わなかった。
 パレットくもじのCD屋さんで買ったのは数枚で、あとは沖縄そば屋のレジや、高速のサービスエリア、中村家おみやげ品店とかで買いました。
 沖縄の特産品には、食べ物、酒、陶器、うこん、塩とかいろいろあるけど、音楽は立派な産物だと思う。北海道にも伊豆にも京都にも、そして東京にも、地元の音楽をこれだけフツーに普遍的に売ってるという状況はない。
 僕は最近になって沖縄音楽を聴き始めたので、ネーネーズとかビギンとかの基礎教養がない。一番好きなのは宮古の民謡と、同じく宮古出身のロックアーティストである下地勇
 沖縄の音楽の極はたぶん、本島の沖縄市に一つあり、もう一つの極が石垣島など八重山にあると思う。宮古島は二つの極にはさまれた、求心力の低い地域である。たとえば宮古の音楽には、本島のカチャーシーのようなはっきりしたシンコペーションがあまり感じられない。いやクイチャーというリズム民謡があるにはあるんですが、非常におとなしいですね。地味です。また、下地勇はほとんど沖縄音階や三線など伝統楽器を使わない。その代わり、ロック、ラテン、フォーク、アメリカントラッドなど様々な形式に、宮古方言の歌詞を載せて歌う。沖縄音階に標準語を載せてキャッチーな曲を作るビギンとはちょうど逆だ。
 話がそれた。今回は本島の音楽を買って帰りました。一つの群れは、沖縄市にあるキャンパスレコード(ンナルフォンレコード)が出したコンピレーションたち。
名盤復刻 やさしい心を武器にして

 この2枚はンナルフォン。1枚目は非常に政治的なポピュラーソング集。企画は面白いが音楽的にはあまり面白くない。しかし作詞のビセカツと作曲の普久原恒勇は沖縄音楽潮流の超大物らしい。勉強になった。もう1枚は本島から宮古八重山までの民謡・現代曲を、超ベテランと新進歌手がごたまぜになったコンピ盤。アナーキーだ。このレーベルはどうもとんがっていて、要注意だ。ジャケットの裏にもわざわざ「Made in Ryuku」なんて書いてある。


 これは同じ会社だけどキャンパスレコード。現代曲中心で、ほどほどにマニアックでなかなか良い選曲。レンタカーでずっと聴いてたけど、いいあんばいでした。


 これも良かったです。HIGHWAVE HOMEPAGE モンゴル800とか大物を擁する会社みたいです。2枚組で、1枚目は堂々たる伝統音楽正統派のコンピで、2枚目はボーナス盤コンピ。1枚目がすごく良いです。1曲1曲の質も高いし、編成も良い。流れができている。パレットくもじの店では沖縄音楽ランキング1位。お客さんたちの耳も肥えているんだ、と思いました。


 これは僕も知っていた、大物シンガー・古謝美佐子。大ヒット曲「童神」が入っている。しかし、ドボルザークの新世界交響楽に歌詞をつけた曲はイマイチだった。この人、歌いたがりなんだよね。気持ちよく歌ってるのはよくわかるんだけど…。
 もう1枚、「黄金ん子(くがにんぐわ)」というシングルを買いました。これは沖縄でしか売ってないらしい。ま、限定品に名作・名盤なし……と思っていたのですが、彼女の歌声に浸りきれると、意外に良い。泣けるかも。http://www.giro-ya.com/book/h11.html


 不勉強を克服するために、ネーネーズのベスト盤。ボリュームがある。濃いので楽には聴けない。勉強勉強。


SAKISHIMA Meeting(新良幸人×下地勇)「SAKISHIMA Meeting」より配信 | 沖縄ちゅらサウンズ -沖縄音楽「着うた(R)」-
 これは大好きな下地勇が去年出した、八重山の新良幸人とのプロジェクトのシングル。これも沖縄限定発売らしい。けど意外に名盤かも。実験色が強く、テネシーワルツとかやってる。ともかく下地勇の音楽センスはすごいし。宮古島のミュージシャンには沖縄音階に限定されない、より広い潜在力とか包容力があると思う。宮古でロカビリーをやってた「ミヤビリー」なる人たちがいたとも聞く。宮古全体の音楽センスがとてもモダンだ。


 今回最大の収穫がこれ。4曲しか入ってない(もう4曲はカラオケ)んだけど、この地域密着コンセプトの着ぐるみヒーローはすごい。作った人たちの、特撮ヒーローへの愛、沖縄への愛をひしひし感じる。ヒーロー主題歌も、悪の軍団のテーマも、特撮のツボと沖縄のツボをきっちりと押さえている。「ガジュマルが枯れてる でーじ超ヤバイ」「てぃーだの力で平和を守るんだー」「ワラビん時分やかんなじ チャーがんまりして チブルにカンパチ」…こんなヒーローがうちの田舎にもいたらよかったなあ。沖縄の子がうらやましいぞ。
 悪の軍団テーマ「ゴーゴー!マジムン」はまじ格好いいので、どっかで探して聴いてみてください。主題歌は↓ありました。

 だいず聴いた。腹一杯なのだった。あいー、沖縄の音楽はほんまにセンスええわ。レゲエがロックの衰退を押しとどめたように、20世紀末に日本のポピュラー音楽が衰えたとき、ビギンやアクターズスクールの面々が中央を席巻したのは当然だった。辺境から来たものが異能の力で世界を塗り替える、というのはなんというか、定理なのかも。