新々リストラなう日記 たぬきち最後の日々

初めてお読みの方は、<a href="http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20100329/1269871659">リストラなう・その1</a>からご覧になるとよいかも。

ピーター・バラカンの「ウィークエンド・サンシャイン」

 土曜の朝は枕元のラジオを手探りでつけて、この番組を聴く。http://www.nhk.or.jp/sunshine/pc/index.html
 ピーター・バラカンの柔らかい低い声の語りは、寝ぼけている頭にも刺激が強くなくて良い感じ。ときどき低すぎて聞き取りにくいことがあるけど気にしない。そしてピーターさんは原稿?読みながらつまって、「…読めませんね」とか言ったりする。アナウンサーじゃないのでラジオの文法を逸脱したりするのだけど、それがかえってライブっぽくて、聴いてる側にはよかったりする。

 インターネットが素晴らしいのは、ラジオでかかった曲って「これすごくいいけど題名は?」とかって疑問に答えてくれることだ。ピーターさんの番組は、終了後すぐにwebページが更新されて、今日かかった曲目と演者、アルバムが一覧で見られる。僕はそれを見て、iTunes Storeでアルバムを買う。今日はDavid Fathead Newmanの"House of David"を買おうかなー、と思っている。
※これ、廃盤らしい。ピーターさんも「手に入らない」と言ってた。2枚組なのだが、iTunesではそのうち8曲だけを1000円で売っている(なぜ8曲?)。

 去年の暮れにこの番組で教えてもらったThe Bad Plusのアルバム"For All I Care"は、僕のなかでもう大ヒットになった(メンバーが増えているので正しくはThe Bad Plus joined by Wendy Lewisという名になるらしいが)。

 これ、ピアノジャズトリオ+女性ボーカルの人たちが、往年のロックの名曲をカバーしてるのだ。ニルヴァーナピンク・フロイド、イエス、ビー・ジーズ、ハートとか。他にも僕は知らないけどあなたなら知ってる名曲があるだろうし、iTunesで買ったAAC版にはボーナストラックがついてて、U2の"New Year's Day"が入ってた。これは良いおまけだった。
 ピーターさんは、このアルバムから番組の最後の曲としてピンク・フロイドの"Comfortably Numb"をかけた。もともとこの原曲は"The Wall"に入ってて幼年期のトラウマか何かをどろどろと歌い上げるイヤ素敵な曲だ。それをシンプルなピアノトリオと低血圧っぽい女性ボーカルがどろどろさ200%増しで歌っており、もはや呪術的な領域に近づいている。たしか9分くらいの曲だが、これで番組がゆっくりと終わっていくさまはまるで臨終の瞬間に立ち会っているようで、聴いてて怖かった。なので、終わってすぐにwebをチェックしてiTunesで購入した。

 ピーターさんの代表的な仕事は昔だとMTVなのかな。僕は見てなかった。90年代からこっちだとCBSドキュメントになるのだろうか。僕はこの頃からテレビを失ったので見てなかった。いまやっと、毎週土曜の朝、彼の良い仕事を堪能できている。この番組は朝7時ころから9時までやってるのだが、どうしても自然に目が覚めるのは8時頃なので半分は聴けてない。今朝も、前半はスプリングスティーンとかがかかってたらしいのだが聴けずに残念だった。僕のバカバカ。

 ずーっと以前、秋か冬の晴れた週末の午後、世田谷の静かな街を、ピーターさんと奥さん(とおぼしき女性)が散歩してるのを見かけた。彼は身体も大きくないし、物腰も柔らかだし、足音立てずに猫のようにふんわりと歩いてるように見えた。いやもちろん普通に歩いてらっしゃったわけですけど、僕にはそう見えたわけです。
 ピーターさんの番組は僕にとって真夏の日の冷たい水のような存在です。ずっと聞き続けたいと思うわけです。できればちゃんと7時に起きて。