新々リストラなう日記 たぬきち最後の日々

初めてお読みの方は、<a href="http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20100329/1269871659">リストラなう・その1</a>からご覧になるとよいかも。

赤木智弘はもっと面白かった! そして探偵ファイルはやはりバカ?

 風邪を引いてしまった。会社を早退けして寝たりしていたのだがなかなか良くならない。しかしふだん読まないくだらない本を読んだりして意外に充実したごろりごろりなのだった。

 で、先日、城繁幸についての雑感を書いたら、1年も前にすでに赤木智弘が僕と同じというか僕なんかよりずっと立派で的確な感想を公表していた。『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか』城繁幸 - 深夜のシマネコ読書録

 とくに感心したのはここ。

・昭和的価値観からの脱却が、成功例ばかりなのが気になる。果たして、昭和的価値観を脱して高収入を得た人たちが、今度は搾取側(昭和的価値観への復古欲)とならないという保証はあるのだろうか?

 これ、僕の疑問とおんなじ。そう、まず、成功例しか挙げていないということは、失敗例を挙げるのは気が引けるからなんだ。次いで、城繁幸の挙げる成功例は、成功したとたんに我々の位置から遠く離れてしまう。そんな例は私たちに必要なのだろうか? 私たちに必要な例は、愚直に生きるしかない不器用な人間が、安心して生きていける、そんな例ではないか。
 成功した瞬間に私たちを食い尽くす立場にならざるをえない「平成的価値観」ってどうなのよ、と僕は思うのだ。
 やはり僕はズレた懐旧左翼くずれなのだろうか?

 赤木智弘は面白い。これからずっと追いかけていきたい。


 そして、前に書いた「再現刑」について、http://www.tanteifile.com/diary/index7.htmlが追記していたのでここにメモ。

1月に書いた記事だが今もアクセスやメールが絶えない。
9割以上は私の『再現刑』に賛成、残り1割が反対だった。
賛成が多いから良いと言うのではなく、逆に反対意見が参考になった。
死刑そのものを廃止する意見はその中でも少数派で、あとは『誰が刑を執行するのか』『嫌がる刑務官にやらせるのか、それは酷では?』などだった。
なるほど、と考えさせられた。

 驚くべきことに、この筆者は「誰が執行するか」指摘されるまで考えていなかったらしい。こっから後、探偵ファイル氏は、

もし、自ら手を下せない親がいるとしたら、その時は私が代わって執行官になればいい。元々、自分が出来ないことは記事にしない。私は反対している人々のような宗教観も持ち合わせていないし、自分も含めて人間は地球の寄生虫だと信じて疑わないので何の躊躇もせず星島の首にナイフを突き立てる。
拘置所の刑務官にやらせる必要は無い。私のような者が日本に10人いれば事足りるだろう。

 前提は、「フツー、親がやるだろ」らしい。そして「親がやらないんだったら俺がやればいいんだろ?」と居直る。この人はやっぱり決定的に頭が悪いようだ。
 もしこの人が主張する「再現刑」が法制化されたとしたら。被害者遺族が「再現刑」を執行する義務を負うのか。まず十割の遺族が「再現刑」の執行を拒否するだろう。できるわけがない。
 理不尽にも愛する者を奪われた人たちが、他人の命を平気で奪うなんてことできるわけがない。犯罪被害者遺族は犯罪者とは違う。彼らと同じ「人殺し」になりたい人がいるだろうか。
 そんな彼らに「再現刑」をやりなさいよ、と迫る法律があったとしたら、それは怖いことだよね。拒否したら罰則があったりして。
 百歩譲って「再現刑を執行する権利を持つ。拒否権もある」としたらどうか。そのとき犯罪被害者遺族はどうするだろうか。誰かに権利を譲り渡すことができたとする。それって、復讐権の譲渡ってことか。それってどうなんだ。近代法理論に照らして。いやその前に人間として。

 頭の悪い人間が考えた「再現刑」なんかより、隣国の賢者の智恵を借りるがよかろう。中国四千年の刑罰史が生み出した究極の刑罰「陵遅処死」を導入する。執行官についてはその先進国から技術を導入すればよい(まだ目撃者が存命なんでないかい)。

 なんて書いてたら胸が悪くなってきたけど、これってマジ100年前まで隣国で行われてたことなんだよね。法システムの一環として。誰かが気まぐれに主張したのではなく、皇帝も認めざるを得なかった法の一部として。
 人間は、システムがそう定めれば、ここまで残虐になれる、というサンプルなのか。それとも。
 この執行官たちに、自由意志があれば、こんな刑罰の執行をしただろうか。
 したかもしれない。そして嬉々として刑死者の血をパンに塗って持ち帰ったかもしれない。
 さあ、どうなんだろうなあ。
 さておき、素人の下手な考えよりも、歴史に学ぶことができれば、より素早く所期の目的に達することができる、という例になるかと思います。