新々リストラなう日記 たぬきち最後の日々

初めてお読みの方は、<a href="http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20100329/1269871659">リストラなう・その1</a>からご覧になるとよいかも。

TBSラジオ「アクセス」バラバラ殺人事件公判、是か非か

 夕食に鍋を食べながらTBSラジオ「カキーン」を聞いていたら、そのまま22時が過ぎて「アクセス」が始まってしまった。宮崎哲弥の日だったのでそのまま聞いていた。

 今夜のテーマは「江東区のOLバラバラ殺害事件の公判。検察は遺体の肉片をモニターに映すなど、残虐な犯行を再現。今後、裁判員制度の下で、このような法廷戦術を使うことに賛成?反対?」だった。
 僕はこの事件のことも、裁判のこともよく知らないのだけど、話を聞いていると公判が検察による派手なプレゼンテーションの場になってしまっている、ということらしい。

 今夜の「アクセス」に登場した、渡辺真理&宮崎も、ゲストの藤井誠二も、リスナーのみなさんも、じつに真摯な議論をなさっていた。犯罪の全容を知ることは裁判員に課された義務であるとか、もしそれが冤罪だったらどうするのとか、裁判所は冷たい箱じゃダメだけど冷静な判断力は持ち続けないといけないとか。

 僕はラジオを聞きながらそういうことは考えなくて、「検察はこういうプレゼンを、やっぱりパワーポイントでやったのかな?」などと思った。マイクロソフトのパワーポイント、僕はとても嫌いだ。前の職場で、さんざんパワポのプレゼン見せられて、くそ詰まらなかった記憶がいっぱいあるから。
 パワポ、=(イコール)広告代理店、というくらい代理店さんはこれが好きだ。あのアプリのおおざっぱなところが代理店にはぴったりだ。子細に読み込もうとしても、そんな細部は書いてないのがパワポ資料だ。アドビやアップルのアプリだと、受け手もつい細部まで読み込んでしまうから、代理店は使いたがらない(に違いない)。ほとんど実のあることは書いてなくても、それっぽく見えるところがパワポの最大の武器だ。レイアウトは字間とかガサツで、フォントもろくでもなくて、それでいて完璧っぽく見える。こういうのを薄暗い会議室の大スクリーンで見せられると、必ず眠くなる。この眠くなるところは、マイクロソフトが仕様で定めているに違いない。

 まあ今回の公判ではパワポは使ってないかもしれませんが、裁判所が、素人にもわかりやすいキャッチーな裁判を目指している、ということなのでしょうか。それはすなわち、検察と弁護側が丁々発止と渡り合う法廷劇ではなく、パワポ的な、派手だけどその実中身の薄いプレゼンが主流になるということでしょうか。まあもともと日本には海外ドラマみたいな法廷劇はあまりないみたいですし。

 裁判員制度というのは重い刑法犯だけが対象みたいですが、そのうち民事にも陪審員だとかちょっとずつ形を変えて取り入れられるんじゃないですかね。そのとき、もしかすると、「原告だろうが被告だろうが、電通を雇った側が勝つ」なんてことになるんじゃないでしょうか。予算不足で博報堂ADKしか雇えなかったら負けるわけです。陪審の皆さんが夢中になって食い入るように見つめる口頭弁論(という名のプレゼン)をやるしかない、と。

 企業の宣伝費が激減している昨今、イナゴの群れ(飛蝗という)のように優秀な電通営業マンは、次の市場として「裁判」に狙いを定めている、ような気がしてなりません。